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Channel: RPG –もぐらゲームス
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中編フリーゲームRPG『ファントムルーラー』配信開始 闇に侵食された世界で成長する王女の物語

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3月19日、ゲーム制作者のKOU氏は、心優しき王女の苦難と成長が描かれるフリーゲームRPG『ファントムルーラー』の配信を開始した。対応OSはWindows。本作は、フリーゲーム配信サイト「ふりーむ!」からダウンロードできる。

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物語は、遡ること300年前。7人の者たちの手によって世界の大半が闇に覆われてしい、僅か3つの国しか残ることができなかった。闇の侵食から300年後。月に1回、魔物を生み出す「呪いの夜」と呼ばれる現象に悩まれされつつも、残された国の1つ「リヴァイアス王国」の人々は平和に暮らしていた。呪いの夜が残り3日に差し迫る中、主人公である、国の次期女王候補「アーネスティン・レンフィース」は、騎士団長のウェインと城外に出ていた。そんな時、突如として呪いの夜が発生してしまう。

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本作は、敵に触れることで戦闘が起こるシンボルエンカウント。キャラクターの速さによって行動順番が変化するカウントタイムバトル方式となっている。戦闘の難易度は「ノーマルモード」と敵のパラメーター、行動、技の威力が変化する「リアルモード」2種類から選ぶことができる。緊張感のあるバトルを楽しみたい方はリアルモードをおすすめする。

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本作の魔法習得には、戦闘後のリザルトに入手できる「結晶」が必要となる。装備以外にパラメーター強化できる要素となっているため積極的に活用していきたい。結晶集めが攻略のカギとなりそうだ。

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魔法にはそれぞれ属性が割り振られており「炎・氷・風・地・雷・水」に加え「+・-」が付属されている。戦闘中どの唱える魔法にアイコンが付いているため、戦闘中は、アイコンにてどの属性で「+か-」を一目で確認できるので相性さえ覚えてしまえば難しくない。

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物語を進めていると加わる「戦術」は、戦闘を有利にするシステムだ。連続ターンでMPの消費も無いが、1回の戦闘につき1回しか使用できず発動条件付きのも存在しているため、タイミングが重要となってくる。キャラクターごと戦術が違うため、その場の状況や後続のことも考える必要がある。

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プレイヤーがアイテムを取るために壺を壊したことで、悲しむ老人

このゲームには、RPGで当たり前にやってしまう行為にも躊躇するようなプチイベントが用意されている。他にも、コミカルなイベントシーンもあるのだが、徐々にシリアスな展開になっていき、アーネ達の行く末に引き込まれていくことだろう。

[基本情報]
タイトル 」『ファントムルーラー』
制作者 :KOU
クリア時間:15時間~
対応OS:Windows
ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/14361


フリーゲームRPG『ひびかけ色のキセキ』のスマホリメイク版がリリース。よりシンプルに洗練されたシステムで魔法使い達の戦いを描く

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ゲーム創作サークルecoddrのステージクリア型アドベンチャーRPG『ひびかけ色のキセキ~portable~』のAndroid版が5月6日に、iOS版が9日に配信開始された。広告や課金要素などもない完全無料のアプリとして提供されている。

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『ひびかけ色のキセキ~portable~』

『ひびかけ色のキセキ~portable~』は、同サークルが昨年、Windows向けにフリーゲームとしてリリースしたRPG『ひびかけ色のキセキ』(関連記事)のリメイク版。オリジナル版はアクティブタイムバトルをベースに敵の攻撃に合わせてガードする要素を加えた戦闘システムや、ポイント割り振りによるスキル強化を何度でもやり直せるなど自由度の高いスキルカスタマイズ、買い物や消費アイテムといった要素を排したノンフィールド型のシンプルな進行などが特徴。魔法使いの女の子たちが苛酷な状況を戦い抜く様子やキャラクター同士の交流が描かれる、シナリオも充実した中編作品となっている。(株)ドワンゴの開催したゲームコンテスト「ニコニコ自作ゲームフェス2016」では「窓の杜賞」を受賞している。

スマートフォン向けにリメイクされた『ひびかけ色のキセキ~portable~』でもこうした内容を引き継ぎつつ、さまざまな要素がリファインされている。スキル装備枠が減少するなど、全体的によりシンプルな形でシステムが再構成されているようだ。ユーザーインターフェイスもタッチ操作向けに練られたものとなっており、スマートフォンでも手軽にプレイできるだろう。
 
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敵の攻撃にタイミングを合わせてガードする要素が重要となる戦闘システム
 
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ポイントを割り振って任意のスキルを強化できる。強化は何度でもやり直しが可能
 
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苛酷な状況を生き抜いていくキャラクター達や、それぞれの想いが描かれていく
 
一方で、通常のスキルで消費したMPに応じて溜まる“TP”がフルになると発動できる“スペシャルスキル”といった新要素も実装。インターフェイスもオリジナル版のフラットでクールなものからファンタジーRPGらしい格調を感じさせるものへと一新されており、新規プレイヤーはもちろん、オリジナル版をプレイした人も新鮮な感覚でプレイすることができそうだ。
 
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スペシャルスキルは使える機会が限られているぶん、強力なものが揃っている

[作品情報]
タイトル:『ひびかけ色のキセキ~portable~』
開発元:ecoddr
価格:無料

ダウンロードはこちらから
Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.pronama.hibikake

iOS版
https://itunes.apple.com/jp/app/%E3%81%B2%E3%81%B3%E3%81%8B%E3%81%91%E8%89%B2%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%82%BB%E3%82%AD-portable/id1179764122?l=ja&ls=1&mt=8

直感的な3Dマップ制作が可能 RPG制作ツール『GAME DESIGNER WORLD』提供開始

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フリーゲーム投稿・配信サービス「PLiCy」を運営する浮田建設株式会社は、同サービス内にて2017年6月2日より、3DマップRPG制作ツール『GAME DESIGNER WORLD』の提供を開始した。

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「PLiCy」は個人で製作したゲームの投稿・配信サービス。全ての投稿作品はWebブラウザ/Android/iOSなどマルチプラットフォームでプレイ可能となっている。

また、「Unity」、「RPGツクール」シリーズや「WOLF RPGエディター」、「ティラノスクリプト」をはじめとしたゲーム制作ツールによる投稿や、HTMLゲームの直接投稿にも対応。

今回サービスが開始された『GameDesignerWorld』は、「ボリューム (volume)」と「ピクセル(pixel)」を合わせた造語である「ボクセル」型の3Dマップを作成できるRPGツールとなっている。本ツールは、スマートフォンやPCを使用しブラウザ上で作成することが可能である。

直感的に3Dマップを作成可能な「マップエディター」

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PC操作の場合、キーボードの「Z」を押しっぱなしにすることで連続してマップを描画することができ、見下ろし型の視点にも切替えられるので直感的な3Dマップ作成が可能。

自動で3Dマップを生成する「ランダム地形生成」

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ランダム地形生成を利用することで、雪や砂漠、オアシス、ダンジョンなどテーマに合った地形が自動で生成される。生成されたマップをベースに手書きで調整することも可能。

フィールド上で直接敵ユニットと戦う「シームレスエンカウントバトル」

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フィールド上の敵ユニットと触れることでシームレスに戦闘へと進行。接近した敵ユニット同士でリアルタイムに敵グループを形成するシステムとなっている。

プレビュー付き「ウィンドウ編集機能」

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本ツールでは、ウィンドウの直接編集モードが搭載。プレビューを見ながら、各ウィンドウをマウスドラッグ、文字などは直接入力で調整が可能。また、スマートフォン用メニュー個別に編集が可能となっている。

初心者から上級者まで幅広く使える「作成モード設定」

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『GameDesignerWorld』には3つの作成モードが搭載。簡単に3Dでマップを制作できる「初心者向けモード」、イベントコマンドやバトルモードを実装した本格的なRPGを作成できる「中級者向けモード」、パーティクル機能やスキン変更機能が備わった「ADV、探索ゲーム向けモード」から自分の用途にあったモードを選択することが可能。

また、上記の全てのモード+拡張機能が増えた「エキスパートモード」も存在する。

なお本作は作成ゲームのEXE出力機能にも対応しており、「PLiCy」サイト外での作品公開・頒布が可能となっている。

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(参考)
公式サイト

フリーゲームRPG『アンダルシアの森』 魔法少女がコツコツとアイテム作りに励む

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「SMILE GAME BUILDER」は、ゲーム開発会社のスマイルブームより販売されているRPG制作ソフトだ。プログラミング不要で3DマップのRPGを生み出せるという手軽さが備わっている。今後はVRに対応していく予定で、柔軟なゲーム開発ツールとしても期待が高まる。

フリーゲーム制作者による「SMILE GAME BUILDER」の制作実演記事
SMILE GAME BUILDERで楽しむゲーム制作 第一回:Qpic『スーパーフックガール外伝』①。
SMILE GAME BUILDERで楽しむゲーム制作 第4回:カナヲ『虚毒ノ夢』①

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『アンダルシアの森』はMickeysmith氏により公開されたSMILE GAME BUILDER製のフリーゲームだ。ひたすら材料を採ってきてアイテムを合成していくことがメインの、小規模なアトリエ系RPGとなっている。早速紹介していきたい。

あらゆるものが調合で生み出される

とある森に一人で住んでいる魔法少女、アンダルシア。長らく行方不明となっている魔女の母をずっと待ち続けている。13歳の誕生日を迎えたアンダルシアは夢の中で母の声を聞き、そして家の中には奇妙なイスが置かれていた。その不思議な現象の正体は、母が仕掛けていた魔法によるものであり、一人前の魔女になるための試練が用意されていたのである。アンダルシアは試練を乗り越えるべく冒険を繰り広げていく。
 
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アンダルシアと一緒に暮らす使い魔のコウモリ、モリ太。冒険やアイテム合成のヒントをくれる。

試練の初日、突然現れたしゃべるイスに驚きを隠せないモリ太であったが、しゃべるコウモリもいかがなものか。ほのぼのとしたキャラクター達がコミカルな会話をしていく。

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まずは家の近くを歩き回ってみよう。

探検していくと橋が壊れていたり、大雨が降っていたりして困った問題が出てくる。それを解決するために材料を集め、家にある壷を使って必要なアイテムの調合をしていく。材料は釣りや伐採、戦闘により入手できる。この繰り返しがゲームの基本的な流れだ。

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戦闘にて魔法を使うアンダルシア。魔法は探索時の困った問題を解決するときにも使える。

アンダルシアが暮らしている場所ではお金というものがなく、魔法書を買って簡単に魔法を覚えることはできない。魔法習得にも、アイテムの調合が関わってくることになる。さらには装備品や頼りになる味方キャラも、調合により生み出される。

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食料を食べてステータスを上げよう。

卵や魚といった食料については、キャラクターの育成に使用する。ひたすら食べて戦闘を有利に進めよう。ついには魔法を使うまでもなく、杖を一振りしただけでモンスターをノックアウトしてしまうことも。

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手ごたえのある3Dダンジョンの中を、覚えた魔法を使いながら攻略していく。

調合して出来上がるアイテムすべてにレシピが用意されているわけではなく、手探りで未知の物を作り出していく面白さもある。のほほんとした日々を過ごしながら、コツコツとアイテム作りに励んでみてはいかがだろうか。

[基本情報]
タイトル:アンダルシアの森
制作者:Mickeysmith
プレイ時間:5時間程度
動作環境:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/14786

リソース管理型ノンフィールドRPG『箱舟のノワール』 “幸運”を捧げて極限状況を生き延び、真相を解き明かせ

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マップなどによるフィールドの表現がなく、戦闘を中心にテンポよく進行する「ノンフィールドRPG」。ランダム入手した消費型の武器などで戦っていくローグライク的なゲームデザインとの相性もよく、リソース管理や意志決定にフォーカスした名作が生まれているジャンルでもある。

Amamori Labのダウンロード販売作品『Ark Noir / 箱舟のノワール』もそうした、リソース管理型ノンフィールドRPGのひとつ。沈みゆく巨大船という舞台設定や、“幸運”を捧げることでさまざまな状況を切り抜けていくシステムが魅力の作品だ。

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沈没しつつある巨大移民船から脱出し、真相解明を目指せ

本作の舞台となるのは、新大陸へと向かう巨大移民船「ノワール」。原因不明の事態により沈没を始めた船から脱出するため、5つのフロアを踏破するのがゲームの目的となる。各フロアの道中では檻から逃げ出した獣との戦闘がランダムに発生。使用回数が限られている武器などのアイテムを駆使して撃退していく。

ノワール沈没の謎に迫っていくアドベンチャー要素も特徴で、他の乗客・乗員を救出し、証言を集めるのもゲームの目的。プレイの内容によってエンディングが変化する。さらに主人公を3人から選択可能で、主人公によって能力だけでなく一部のイベントも変化するほか、さまざまな条件によってアンロックされる実績要素もある。1周のプレイ時間は数十分程度で、繰り返し遊べる作品となっている。

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大陸間移民のため建造された2隻の巨大蒸気船のひとつ「ノワール」。この船が沈没し始めたことから物語は始まる

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ノワール沈没の謎に迫っていくアドベンチャー要素も見どころ

限られた「幸運」の使い所が攻略の鍵を握る

本作ではHPのほかに、「幸運の量」を表す値である「Fortune」が存在。これをさまざまな場面で使用していくシステムが最大の特徴だ。フロア内で物資コンテナを発見した際にはFortuneを消費することでランダムにアイテムを入手できるほか、休憩ポイントを発見した際はFortuneを消費して休憩すればHPを全快させることが可能。また、各フロア最奥のボス戦以外の戦闘からはFortuneを消費することで必ず逃走できる。他の乗客・乗員を救出する際もFortuneが必要となるが、状況によっては戦闘や特定アイテムの使用で代替できることもある。

Fortuneはフロアを10歩進むごとに最大値の1/7ずつ回復していくが、その用途の広さに対して入手量が十分とは言い難い。使い過ぎてしまうといざ必要な時に足りなくなってしまうが、かといって使い惜しんでいても武器やHPが足りずジリ貧になっていく。極限状況の中で、限られた「幸運」をどのタイミングで何に使うかというリソース管理が攻略の鍵を握っているのだ。

物資コンテナからは、Fortuneが足りる限り何度でもアイテムを引き出せるのもポイント。必要なアイテムがなかなか出ずFortuneを注ぎ込んでしまったり、逆に良いアイテムを引けた勢いでもう1回……!と望みをかけてみたりと、いわゆるガチャに近い感触もある。

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Fortuneを消費してコンテナからアイテムを引き出す。すべての基本だ

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他の乗客・乗員を救助する際もFortuneを消費する。戦闘や特定アイテムの使用で代替できる場合も

オープンな情報をもとに戦術判断を行うロジカルなバトル

本作の戦闘は自分と敵が交互に行動する1vs1形式。敵のHPと防御力の値はオープンになっており、攻撃の威力から敵の防御力を引いたものが最終的なダメージになるという、シンプルな仕様となっている。また武器を選んで攻撃するだけでなく、防御は防御用のアイテムを選択することで行う(当然、持っていなければ防御はできない)など、逃走を除き戦闘中のあらゆる行動がアイテムを選ぶことに集約されているのもポイントだ。

敵の行動内容は単純な攻撃のほかに大技や自己強化などさまざまで、次の行動は自動で開示されることがあるほか、自動で開示されなかった場合もFortuneを1消費することで任意に開示することが可能。敵が防御を固めたら防御力を無視できる「貫通攻撃」タイプの武器を使うなど、状況に応じた選択が重要となってくる。攻撃は基本的に必中、ダメージ算出にランダム要素は一切ないため、手持ちのアイテムの組み合わせにより何手かけて、どの程度の損失で敵を倒せるか、あるいは諦めて逃げるべきか……といった先読みも重要な、ロジカルなバトルに仕上がっている。

とくに中盤以降は敵の攻撃も激しく、1ターンの価値が重い。スリップダメージを与える「毒」や敵が行動できなくなる「気絶」など、状態異常の活用も非常に重要だ。逃げることができず、まさに死闘となる各フロアのボス戦に向けて、「ボスに勝てるアイテム構成」を作り上げていく戦略面もポイントとなっている。

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攻撃力や武器の性能などから算出された最終的な攻撃の威力がアイテム一覧上に表示される

戦闘に勝利した場合、および他の乗客・乗員を救出した際は「経験点ランプ」が1つ点灯し、4つ点灯するとレベルアップ。HP全快、Fortuneが最大値の50%回復、攻撃力上昇、防御力上昇という4つのレベルアップボーナスから1つを選べるほか、パッシブスキルにあたる「Perk」がランダムに2種類呈示され、どちらか1つを選んで習得できる。

Perkはステータスを上昇させるもののほか、「休憩ポイントを出現しやすくし、休憩に必要なFortuneを減らす」「銃器による攻撃の威力を上げる」など特殊な効果を持つものが多数用意されており、状況や主人公の能力、プレイの方針などに応じて必要なものを取捨選択していくのが悩ましくも楽しい。欲しいPerkがなければFortuneを消費して再呈示を行うことも可能だ。

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Perkはユニークなものが多数用意されている。呈示される2つから、「今回のプレイで必要なのはどちらか?」と選んでいくのが悩ましくも楽しい

歯応えのある難易度と豊富なバリエーション。何十周でも遊べる傑作

本作の難易度は高めで、最初のうちはノワール沈没の真相解明どころか、脱出すらままならずゲームオーバーになることも多いだろう。繰り返しプレイすることでコツを掴んでいくなどプレイヤー自身が経験を積むことも重要だが、システム上の強化要素としては実績をアンロックすることで、ゲーム開始時にあらかじめセット可能なPerkの種類とセットできる数が増えていくという仕組みがある。これによりキャラクターを強化し、さらに実績をアンロックしてPerkを拡充させていく……といったサイクルが、本作の周回ゲームとしての大きな流れとなるだろう。

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繰り返しプレイすることでゲーム開始時にセット可能なPerkを充実させていくことが可能

実際のプレイ感として筆者がとくに感じたのは、ランダム要素の振り幅がかなり大きい点だ。物資コンテナには出やすいアイテムの種類が設定されているのだが、「おそらく武器」と書かれたコンテナからそれ以外のアイテムばかり出る、なんてことはしょっちゅうだし、エンカウントの頻度もバラツキが大きい。最後の最後までプレイ内容が安定することはほとんどない。

そのぶん、何十周しても似たような展開になることはまずない。筆者の場合、20時間以上プレイしたところで初見のレアアイテムに遭遇することまであって驚かされた。ゲーム開始からクリアあるいはゲームオーバーまで、途中でセーブのない一発勝負である点も心地良い緊張感に繋がっている。

近現代の欧州がモチーフと思われる世界観も見どころで、モダンな趣のあるイラストに冒険小説やミステリーのような渋みのあるシナリオと、コンピュータRPGとして見るとなかなか独特であり、ゲームブックやTRPGのような雰囲気が漂っているようにも感じられた。救助した乗客・乗員の中には各主人公と縁の深い人物もいて、会話シーンなどを通じて描かれるキャラクターも魅力的。また、アンロックした実績に応じてさまざまな文書を閲覧することもでき、物語の背景などを垣間見ることが可能だ。

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縁の深い人物との会話シーンでは、主人公のキャラクターがより深く掘り下げられることも

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実績をアンロックすることで「アーカイブ」にて読める文章が増えていく。さまざまな側面から物語の背景などを垣間見ることが可能

ルールはシンプルで把握しやすく、それでいてアイテムや敵の行動、Perkのバリエーションの掛け合わせにより思考と判断で頭をフル回転させられるのが醍醐味の作品。体験版も用意されているので、リソース管理や意志決定が好きならぜひ触れてみていただきたいRPGだ。

【基本情報】
タイトル:『Ark Noir / 箱舟のノワール』
制作者:Amamori Lab
クリア時間:1周数十分、エンディングコンプリートまで10~20時間程度(筆者推定)
対応OS:Windows、Mac OS X
価格:1,080円(税込)

ダウンロードはこちらから
http://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ201290.html

制作元サイト
https://amamorilab.wixsite.com/amamori-lab

『ファタモルガーナの館』『セブンスコート』のノベクタクル、新作はTRPGライクRPG!その世界観やシステムに迫る

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Novectacle(ノベクタクル)は10日、新作RPG『NarKarma EngineA -ナラカルマ・エンジネア -』のティザーサイトを公開した。アクセスの度に表示されるキャラクターがランダムに変化する仕組みで、執筆時現在は2人の主人公が登場。表示されるキャラクターは今後増えていくという。ティザーサイトではメインテーマ曲を聴くこともできるほか、1stティザームービーも公開されている。

『ナラカルマ・エンジネア』は、『ファタモルガーナの館』『セブンスコート』など、ノベルゲーム作品をリリースしてきた同サークルによる初のRPG。「主人公にもラスボスにもなるRPG」と謳われており、ティザームービーの「A TRPG-INSPIRED RPG」という記載も気になるところだ。本誌ではNovectacleへの取材により本作の資料を入手したので、現状ティザーサイトでは未公開の内容も交えて紹介する。なお、これらは制作中の内容のため、製品版では大きく変更される可能性もある点はご留意いただきたい。

「あなたの主人公は私の宿敵」―複数のルートで構成されるRPG

『ナラカルマ・エンジネア』の舞台となるのは、遙か彼方の地上に半人半獣<ケモン>が、遙か彼方の地下に機械人<キカ>が住み、地層には滅びたはずの文明が死者の夢によって再現され続けている世界。ストーリーは複数のルートで構成されており、ルートごとに主人公と目的が異なる。「あなたの主人公は私の宿敵」というキャッチコピーも付けられており、あるルートでは仲間だったキャラクターが別のルートでは敵……といった展開もあるようだ。ルートによって展開の変化のみならず、ゲーム全体に対する印象が大きく異なっていくように作られているという。

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主人公のひとり、半人半獣の男性「ヤノト」の設定画。彼の物語は最上層から始まる。当初、好奇心によって地層を探検していたヤノト達だが、やがて機械人と遭遇し……

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半人半獣の拠点(ホームプレイス)。こうした場所で仲間の入れ替えや装備品の購入、仲間との交流ができるとのこと

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主人公のひとり、機械人の女性「アカル」の設定画。彼女は魂をインストールされたアンドロイドで、自分たちのエネルギー源である「ネクタル鉱石」が枯渇してしまったため地上を目指すことになる

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主人公のひとり、中性で不老不死の存在「イシュタ」の設定画。「記憶を失った世界の門番」で何かの護り手であるという以外は情報が明らかにされていない。イシュタのルートはヤトノとアカルのルートを終えると解放されるという

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多種多様なキャラクターがそれぞれのスキルを活かし、主人公を助ける。しかし別の主人公にとっては中ボスとして登場するという……

本作のスタッフはシナリオライター・ディレクターが過去作と同様にNovectacle代表の縹けいか氏。メインイラストレーターが『ファタモルガーナの館』の漫画版の作画を担当した兼宗氏。UIデザイナーと背景画担当が『ファタモルガーナの館』のスピンオフ作品『薔薇と椿とファタモルガーナ』のイラストを担当した一條檀氏。また楽曲関係は、作曲を『ファタモルガーナの館』にも楽曲を提供している堤裕介氏、歌手をNovectacleのがお氏が担当する。さまざまな形でNovectacle作品に関わってきたスタッフによる、新たな世界観の表現に期待したい。

TRPG inspired RPGとは?

本作のジャンル名は「主人公にもラスボスにもなるRPG」かつ「TRPG inspired RPG」。前者は立場の異なる複数主人公によるマルチルートを指していると思われるが(あるいは、より深い意味もあるのかもしれないが……)、後者はシステム面の特徴を表したものだろう。要となるのはポイント&クリック方式のマップ探索ダイスやカードによるゲーム進行だ。

ゲームの基本的な流れとしては、各主人公のホームプレイスよりダンジョンに進行。クリアすることで次のダンジョンへ進むことができる。それぞれのダンジョンは「滅亡した文明の再現」であるため、「子供の落書き世界」「人より動物の方が偉い社会」「宇宙進出した未来文明」といった、バラエティに富んだ内容となるようだ。

ダンジョンではマップ上に探索可能なポイントが点在し、キャラクターの駒を動かすことで戦闘やアイテムの取得、会話といったイベントが発生する。未踏の地は霧で隠れており、探索が進むことでマップの全貌が見えてくる。そしてダイスを振り、カードを使うことでマップを進んだり、バトルを進行させていくという。

世界観もシステムも、まだまだ不明な部分も多い『NarKarma EngineA -ナラカルマ・エンジネア -』だが、Novectacle作品らしくストーリーやキャラクターが濃厚でアートワークの独自性が高く、かつRPGとしても遊び応えのある作品となりそうだ。今後の続報にも期待したい。

第9回ウディコンで発見!独自システムが光るフリゲ短編RPG2選『アンダーグラウンドヒーロー』『S-Witch♭』

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毎年7月から8月にかけて開催されている、ゲーム制作ツール「WOLF RPGエディター」で制作されたフリーゲームのコンテスト「WOLF RPGエディターコンテスト(通称ウディコン)」。第9回目を迎えた今年も60作品を超える力作が集まった。毎回“RPGエディター”というツール名にとらわれない多彩なジャンルの作品が投稿されるイベントだが、今年もバラエティに富んだ作品が集結。もちろんRPGも多数投稿されており、独自の世界観に凝った作品やシステムを完全自作した作品など、作品ごとにさまざまな見どころが用意されている。

プレイヤーの趣味嗜好によって推し作品が大きく変わってくるのも醍醐味と言えるウディコン。そこで本稿ではシステム重視派かつバトルマニアを自認するRPGファンの筆者が、とくにハマった独自システム搭載の短編RPGを2作品ご紹介する。いずれも戦闘はコマンド選択型で、じっくり考えながら落ち着いてプレイできる作品。「フリゲRPGといえばやっぱり凝った戦闘システム!」という方はぜひ参考にしていただければ幸いだ。

多様な戦術要素のシナジーがアツい!『アンダーグラウンドヒーロー』

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全4層からなる階層世界「アンダーヘイブン」の最上層へと向かい、かつての世界を滅ぼした存在「エル」を倒すのが目的のRPG。各階層はいくつかのエリアに分かれており、最後にはボスが待ち構えている。

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地形や敵の傾向が異なるさまざまなエリアを踏破していく

戦闘はシンボルエンカウントのCTB方式で、状態異常の扱いを得意とする主人公、魔法アタッカーのドロシー、盾役のギルバート、物理アタッカーのミラという主な役割が明確な4人のパーティで戦う。各キャラクターはレベルアップで入手できる「GP」を消費し、キャラクターごとに用意された個性的なアクティブ・パッシブスキルを選んで習得していくことが可能。習得可能なスキルは最初からすべて確認することができ、自由度の高いキャラクター育成を行える。

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「GP」を消費してスキルを習得。キャラクターの個性を引き出すようなスキルが用意されている

戦闘システムでユニークな点は、クリティカルはランダムで発生するが、攻撃後に判定されるのではなく「今攻撃すればクリティカルになる」というのが事前にわかること。クリティカルでは状態異常付与の成功率も上昇するほか、クリティカルで追加効果が発揮されるスキルなどもあり、チャンスを活かす戦術判断を楽しめる。また、敵の次の攻撃がクリティカルになる場合も事前にわかるので、危険予知という意味合いもある。

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キャラクターの下にある「CRT」アイコンが点灯した際に攻撃するとクリティカルが発生。クリティカルで追加効果が発揮されるアクティブスキルや、クリティカルを条件に発動するパッシブスキルも用意されている

装備品の仕様もユニークで、装備品ごとに異なる最大4つのパラメーターが基本値からの割合で変動する。性能も「攻撃力と防御力が上がるが状態異常への耐性が下がる」などトレードオフが発生するものばかりで、後から手に入る装備品が一方的に強いということは全くない。状況や戦闘スタイルに応じた装備を模索していくのが悩ましくも楽しい作りとなっている。

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装備品によるパラメーターの変化は割合ベースとなっている。どれもメリットとデメリットがあり“無難に強い”ものは存在しない

こうした要素により、装備品とアクティブスキル、パッシブスキルのシナジーを考えつつ戦略を立てていくのがバトルの醍醐味だ。主人公が敵に状態異常を付与し、状態異常になっている敵へのダメージが増加するパッシブスキルを備えたミラが攻撃、といったキャラクター間の連携も戦術の要となる。各階層には倒すのが必須ではないエキストラボスも存在しており、白熱のバトルを存分に堪能することができる。

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さまざまな条件で発動する多彩なパッシブスキルでバトルを有利に進めていくのも醍醐味

ほかにも通常の防御力と防御した際のダメージ軽減率のパラメーターが別に存在したりと、なかなかに凝ったシステムが特徴。そのぶん要素が多く少々とっつきにくい印象も否めないが、筆者がプレイした感触としては最初はひとまず細かい点は気にしなくても問題ない。戦闘画面やメニュー画面ではその場に応じたヘルプを実際の画面に重ねて表示できるといった配慮もあるため、プレイしながら少しずつ把握していくとよいだろう。

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状況に応じたヘルプを実際の画面に重ねて表示できる。コンフィグなども充実しておりユーザビリティは良好

ストーリーは時折挟まれる回想シーンが印象的。それ以外のシナリオ要素は最小限だが、多くを語らずとも主人公の想いが徐々に明らかになっていき、ラストに向けて過去と現在が収束していく展開が秀逸だ。とくにラスボス戦のとある演出は圧巻で、少しでも多くのRPG好きにここまで到達して、物語とシステムメッセージが交わって魂を揺さぶる瞬間を体験してほしいと感じさせられた。

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世界を滅ぼした災厄を倒しに行く道程―その合間に挟まれる、誰かと誰かが交わした約束の記憶

なお、作者による作品紹介では「リソース管理が重要」と謳われているが、実際のところは「通過したエリアに戻ることはできず、倒した敵が復活しない」仕様のため無限にザコを狩ってリソース稼ぎができない、という程度の縛りであって、ローグライクのようなガチガチのリソース管理が必要になることはまずない。難易度も複数用意されているので、気軽にプレイしてみてほしい。

【基本情報】
タイトル:『アンダーグラウンドヒーロー』
制作者:霜月六 氏
クリア時間:3時間前後
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから(第9回ウディコン エントリー番号63番)
http://www.silversecond.com/WolfRPGEditor/Contest/entry.shtml#63

魔術師二人組の連携バトルを独自システムで表現した『S-Witch♭』

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突如魔物に襲われた街を舞台に、二人組の魔術師メグとレティの活躍を描くRPG。点と線で抽象化されたマップの各地でさまざまなイベントが発生し、ときには選択を行いながらストーリーが進行していく。

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街の各所でイベントが発生。目的地を定めて進行していく

戦闘はマップ上で敵が居る場所へ移動すると発生。敵・味方が一斉に行動し、すべての行動には選択から発動までの行動時間が設定されている。行動時間はカウントダウン表示され、カウントが0になったキャラクターから行動する仕組みだ。

魔術も武具も扱える二人が前衛と後衛に分かれて戦うのが特徴で、後衛は魔術で攻撃を行い、前衛は後衛を守りつつ剣での攻撃など物理的なスキルで戦う。システム的には「敵は前衛だけを攻撃してくる」「前衛は攻撃対象を任意に選べず、次に攻撃してくる敵を自動的に狙う」という形で表現される。前衛、後衛は戦闘中に交代することが可能で、交代しながら強力な攻撃を行う連携技も、条件を満たすことで発動できる。

後衛も攻撃の要として重要だが、敵の攻撃を一手に引き受ける前衛は、よりテクニカルな立ち回りが要求されるのが本作最大のポイント。前衛のスキルには攻撃力のほかに「耐久力」「回避力」という値が設定されている。敵から攻撃を受けた際、その威力から選択中のスキルの耐久力を引いたものがダメージとなり、耐久力が威力を上回ればノーダメージで凌ぐことも可能。また、回避力が敵の攻撃に設定された「機動力」を上回れば攻撃回避となり、この場合もノーダメージでやり過ごせる。

敵の次の攻撃は、行動時間に加えて威力や機動力も開示されている。耐久力や回避力に重きを置いたスキルも用意されており、うまくタイミングを合わせることで完全防御や完全回避も可能というわけだ。行動時間が短いスキルで敵の隙を突きやすいメグ、威力と耐久力を兼ね備えたスキルで守りながら攻められるレティと、二人の戦闘スタイルの違いもポイント。交代も駆使しながら戦っていくという魔術師二人組の連携バトルをシステムで体感できるのが醍醐味だ。

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前衛と後衛の連携がバトルの要。後衛だけが行える攻撃対象の指定なども駆使して戦術を組み立てていく

また本作には時刻の概念があり、移動やイベントで時間経過するほか戦闘後には残ったダメージに応じて休息に時間がかかる。街の状況は時間経過によっても変化していくため、より効率よく敵を倒すことが重要になる場面もあるだろう。発生したイベントやプレイヤーの選択により物語は変化し、マルチエンディングとなっている。1周自体は短めなので、「あの時こうしていたら」というifの追求も楽しめる作品だ。

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時間経過やプレイヤーの行動によって展開が変化。重要な選択を迫られる場面も……

【基本情報】
タイトル:『S-Witch♭』
制作者:えるせ 氏
クリア時間:1時間
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから(第9回ウディコン エントリー番号17番)
http://www.silversecond.com/WolfRPGEditor/Contest/entry.shtml#17

制作元サイト
http://prototypo.exblog.jp/

主人公は喋るシマウマ!?異色にして王道の動物SFフリゲRPG『TAIGA』

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RPGといえば、中世西洋風のファンタジー世界を舞台に、年頃の少年少女が選ばれし勇者として、世界を滅ぼそうとする魔王を倒すべく冒険を繰り広げる…というような展開はよく見かけるものだ。国民的ヒット作『ドラゴンクエスト』などが打ち立てたある種の「王道」として、この文脈をすでに前提のものとしたり、逆手に取ったりした創作も数多く見られるようになった。

しかしそうした文脈とはまるで真逆を行くような、一目見ただけで忘れられない異彩を放つ作品が7月31日にリリースされた。
その作品の名は『TAIGA』(タイガ)。コロー氏とデグー氏の2人組で制作された”動物SF”RPGだ。

あまりにも人間らしすぎる動物たちの世界

本作の特色は何と言ってもキャラクターが全て動物という独特の世界感だろう。
主人公の「タイガ」からしてしゃべるシマウマであるし、その師匠役である「エト」はしゃべるオオカミ。他の登場人物ならぬ登場動物たちも例外なく人語を介する存在だ。
 
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渓谷でエトに戦闘訓練を受けながら暮らしていたタイガは、卒業試験となる洞窟探検の最中、狼の姿をした黒い影に襲撃される。
エトにかばわれながらも追いつめられたタイガは、世界を実効統治する貴族「ハリ家」に救出され、そこから成りゆきでハリ家の私設救出部隊「マイト・N」部隊へ参加することになる。
 
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しかし部隊の創設の目的や細かな任務の内容ははぐらかされたまま。
初の任務で向かった先の街はハリ家の統治の及ばない自治都市であり、自身ら救出部隊こそが外敵を招くと言われ、またかつてハリ家が太陽へと追放したという神「いぬあく様」が信奉されており、救うべき住民からは良い視線を向けられない。
そして、いぬあく様の存在はタイガを襲撃してきた黒い影とも大きな関わりがあることが発覚していく。
 
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荒廃した大地、権力闘争、難民、宗教…『TAIGA』の世界を取り巻くものは緑豊かな野生ではない。
お決まりパターンの勧善懲悪とも、「しゃべる動物たちが暮らす」ということから連想されるような牧歌的な光景とも程遠い、泥臭い人間的な世界を目の当たりにしていくことになる。
しかしそのような世界の中にあるからこそ、気弱ながらにも純朴に意思を貫こうとするタイガの存在が強く映えるといえるだろう。

「メカニカ」をカスタマイズし、死闘を勝ち抜け!

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『TAIGA』の戦闘システムの特徴として、サイドビュー・カウントタイム方式が取られており、メニューから「メカニカ」と呼ばれる機械に、5つの「法石」をセットすることで戦闘中に選択可能なコマンドをカスタマイズすることができる。
コマンドはそれぞれ行動に消費するSPや、セットすることで得られる能力値補正が異なる。SPはターンごとに一定量回復するほか、「チャージ」の法石やアイテムなどでも回復可能だ。
 
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SP消費の大きなコマンドばかりをセットしていても、再度SPが溜まるまで行動が起こせなくなるだけでなく、「防御」や「アイテム」といった基本的なコマンドを外すことになるため戦闘中の柔軟性を欠くことになる。メンバーの得意分野や担当割り、SPの配分を考えて各コマンドをセットしておく事前の戦略が重要だ。
特に「防御」コマンドのダメージカットの効果はしばらくの間持続するので、一撃が強力なボス敵相手にすぐやられてしまうという場合は活用してみよう。
 
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新たな法石はフィールド上の各所で拾うなどして入手できるが、ストーリーの展開上、後から戻ってアイテムを探しなおしたり、自由に戦闘して育成を行うことができない。突発的な戦いに備え、訪れたエリアは念入りに探索し、戦闘する機会がある時は確実に経験値を積み重ねて地力をつけていくようにしよう。
行き詰った際に少し戻ってやり直せるように、セーブデータも複数個に分けて細かくつけておくのもよいだろう。

なんのかんの言っても愉快な奴らがたくさんいます

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ハードな展開の一方で、主人公のタイガやマイト・N部隊の仲間たちである「あおへび」「マンバル」「クリム」などをはじめ、一癖も二癖もある登場動物達の織りなすコミカルな会話劇も本作の見所だ。
とりわけ随所で繰り出されるタイガの目がすっぽ抜けた表情は漫画的で印象に残りやすい。
 
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※こんな顔。

シリアスな中にもコメディが存分に織り込まれており、会話を追っていくだけでも楽しく、重苦しい空気が漂う中での清涼剤となってくれる。
苦悩もあれば、涙もあり、笑いもある。動物の姿をしていながらも、そこに描かれた人間的な感情の普遍性が本作を王道たらしめんとしている理由だといえるだろう。
 
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本作は三部作構成が予定されており、現在は第2章までがプレイ可能。続編は誠意製作中となっている。タイガの進むべき道がどうなっていくのか、今後の展開に注目だ。

[基本情報]
タイトル: TAIGA
制作者: コロー&デグー
クリア時間: 9時間~
対応OS: Windows
価格: フリーウェア

↓ダウンロードはこちらから
http://taigagamedaaaaa.blog.fc2.com/blog-entry-49.html

(ふりーむ)
https://www.freem.ne.jp/win/game/15364

(フリーゲーム夢現)
https://freegame-mugen.jp/roleplaying/game_6260.html


『Undertale』の凄さについて感情抜きで語りたい

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本記事では『Undertale(アンダーテール)』について紹介させていただきたい。

が、今回は『Undertale』がどのようなゲームかについては触れるつもりはない。この記事を読んでもゲームの概要は伝わらないだろう。

というより、ぶっちゃけどういうゲームなのかはむしろ「知らないほうがいい」のだ。伝えたいのは「Undertaleが凄いゲームである」ことと「むしろ何も知らずにプレイして欲しい」ということだけだ。
 
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また、筆者は『Undertale』が大好きである。今までのゲーム人生の中で最も驚いたゲームであり、最も泣いたゲームであり、最も大笑いしたゲームであり、最も怖い思いをしたゲームであり、最も幸せな気分になれたゲームでもある。

筆者の主観的な好きさがあまりに強すぎるため、普通に良さを力説しても説得力は生じないだろう。なので今回は、できる限り「感情を殺しながら」紹介していくことにしたい

※『Undertale』がどういうゲームかについてどうしても知りたい方は過去に掲載された以下記事をお読みください。

名作インディーRPG『Undertale』は、「モンスターを倒す」ことの意味を問い掛ける
http://www.moguragames.com/entry/undertale-indiegame/

メディアの評価

『Undertale』のメタスコアは、92点。

メタスコアとは、海外サイト「Metacritic」が算出するスコアのことだ。多数の海外メディアのレビューを集計して算出した「メディア全体の平均値」のようなもの。それがメタスコアだ。『Undertale』は100点満点中92点の評価となっている。
 
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↑全ハード&全期間のランキングでも203位

『Undertale』以外に92点を獲得しているタイトルを挙げていくと、『ファイナルファンタジーVII』『Call of Duty 4: Modern Warfare』『Bloodborne』『風ノ旅ビト』『ゼノブレイド』『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』などなど、超名作がずらりと並ぶ。『Undertale』はこれらのタイトルと同じくらい優れた作品である、と評価されているわけだ。

しかも今挙げたタイトルは大規模に開発されているものばかり。それに対して『Undertale』はほぼ1人で開発されており、手作り感あふれる小規模な作品である。技術力や物量で劣るそんな作品が92点という高スコアを獲得しているのは異例中の異例だ。

また、数多くの賞を受賞しており、ノミネートと合わせるとその数は37にも登る。メディアがいかに『Undertale』を高く評価しているか伝わっただろうか。
 
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ユーザーの評価と販売数

当然だが、『Undertale』はユーザーからの評価も非常に高い。

Steamのユーザー評価を見てみよう。記事執筆時点で70550件もの評価が付いているが、そのうち95%のプレイヤーが「オススメ」と評価をしている。参考までに同率95%のタイトルを探すと『BioShock Infinite』『XCOM: Enemy Unknown』などの海外名作タイトルが見つかる。

また、Steamの統計サイトSteamSpyが発表した推定売上本数ランキングによると、2015年のSteamで、『Undertale』が12番目に売れたタイトルとなっている。その売上げ本数は『メタルギアソリッドV ファントムペイン』や『Call of Duty』シリーズと肩を並べるほど。

『Undertale』は、少なくとも海外ではもはや「知る人ぞ知る隠れた名作」ではなく、「大多数がプレイしているメジャーなゲーム」となっているのだ。

圧倒的なファン達の熱気

販売数だけではなく、ユーザー達の「熱気」も凄い。例えばファンアート。以下のグラフは、『Undertale』および他有名タイトルの「fanart」のGoogle検索数を比較したグラフだ。
 
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↑青:オーバーウォッチ 赤:Undertale 黄:ポケモン 緑:ゼルダの伝説
 
赤色の線が『Undertale』だ。『ポケモン』や『オーバーウォッチ』『ゼルダの伝説』などキャラ人気が高い有名タイトルと比較しても遜色ないどころか、より多い盛り上がりを見せている。「検索数≒需要の数」といえるが、需要があるということは供給も十分にあることを意味するはずだ。実際検索してみるとビックリするほど多くのファンアートが見つかる。(ネタバレの嵐なので未プレイの方は検索しないことをオススメしたい)

ほかにも、軽く検索するだけで「BGMのリミックス」や「ボーカルアレンジ」「力の入ったアニメ作品」「オリジナルの敵キャラバトル」「雑コラ(雑なコラージュ)」「ifの物語」「擬人化」などなど、ものすごい種類と数、そして手の込んだ二次創作が見つかる。それを他のタイトルと比較することは難しいが「とにかく二次創作がかなり活発である」ということだけはお伝えしておきたい。

ファンの愛はそれだけに留まらず、ゲームを解析してボツ素材を掘り起こす人や、本編では語られていない裏設定を分析する人、本家とは別のゲームエンジンに移植して二次創作ゲームを作れるようにした猛者までいる。

また、Fangamerというオンラインショップでグッズ化(ネタバレ注意)もされている。製造コストと在庫問題がまとわりつくリアル商品を展開するということは、それでも利益を見込めるということを意味しており、それだけグッズ需要があるということを表している。またFangamerは今年9月に日本展開を開始したのだが、最初に取り扱うタイトルが『Undertale』グッズとなっている。国内での人気の高さを証明するニュースではないだろうか。

とことん「手間」がかかったゲーム

ここまで読んだ段階でプレイする気が起きたのなら、ここから下は読まず、今すぐ公式サイトへ飛んで購入&プレイして頂きたい。

もしここまで読んでまだプレイする気が起きていない方。次はゲームの中身について、これまた「客観的」に語らせて頂きたい。ここからは微量のネタバレ成分を含むが、Undertaleの魅力を伝えるための「必要悪」だと判断している。プレイする気がないのであれば多少のネタバレくらい大丈夫であろう。

……

では、まずはこの映像をご覧頂きたい。ゲーム開始直後に発生するチュートリアルイベントだ。

[チュートリアル動画]

どうです? これものすごくないですか? 別に普通? 何がすごいか分からない? ではこのチュートリアルがいかに凄いか解説させていただこう。

この動画は、モンスターの世界に落ちた主人公に「その世界のルールを教える」という設定で戦闘システムのチュートリアルを行うシーンだ。『Undertale』の戦闘は弾幕シューティングのような避けゲームとなっているのだが、花の「フラウィ」は嘘をついて弾に当たるように仕向けてくる。

この「チュートリアルが本来教えるべきことと真逆のことを教えてくる」という仕掛けは、「チュートリアルは丁寧で優しく退屈でダルいもの」という共通認識を利用した、プレイヤーの心を鷲掴みにする演出だ。

また、細かい部分での作り込みも相当なものだ。例えばフラウィの表情。まず、その数が尋常ではない。

1.普通のスマイル
2.舌を出してウィンク
3.弾を飛ばす際の目線を外した顔
4.「なかよしカプセル」と言う瞬間の不自然な笑顔
5.最初の弾を避けた後の「残念!」という感じのにやけ顔
6.2回目の弾を避けた後の本気でイラッとしている顔
7.3回目の弾を撃つ際、「さっさと あたれよ… たm」と本音が出そうになった時の「あっ」という顔
8.プレイヤーが確信を持って避けていることが分かった後の本性の顔
9.プレイヤーを追い詰めていくときの悪意むき出しの笑い顔

たった1分という短いチュートリアルの間に、9種類もの表情が使用されている。白黒のシンプルな絵とはいえ、ここまでの画像差分を用意・管理するのは大きな手間だし、表情の変化をプログラミングするのもまた骨が折れる作業だ。(特に4と7の顔は一瞬だけなので気付かない人も多いだろう)

プログラミングといえば、上記映像のちょうど1:00の所で「たm」が「なかよしカプセルに」に訂正されていることに気付いただろうか? ちょっとした演出ではあるが、これがまた手間がかかっている。なぜなら、「文字が切り替わる」という処理は筆者が確認する限りではここでしか使われていない。つまり、この場面のためだけに特別に用意したプログラムだからだ。

このような「その場面のためだけの特別なプログラム」は、普通のゲーム開発ではコストパフォーマンスが悪いため本当に必要な場面以外では使われないことが多い。だが『Undertale』ではゲーム全体を通してとにかく多用されている。

もう一つ例を挙げてみよう。とある売店では「ソーセージを購入しようとしたとき、持ち物がいっぱいだったら主人公の頭にソーセージを乗せてくる」といった小ネタが仕込まれている。
 
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この売店でプレイヤーが「持ち物がいっぱいにも関わらず買い物をしようとする」という状況自体が稀で、そのためにわざわざイベントを用意すること自体がまず「無駄」とも思える。しかも頭には何個もソーセージを置いて貰えるし、しばらくの間頭に乗せたまま歩き回ることができる。沢山積まれたソーセージがバランスを崩してバラバラと崩れる処理も物理計算によって行われている。これもここでしか使用されていない処理だ。
 
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『Undertale』は、このような「一部のプレイヤーしか気付かないような隠しイベント」が本当にてんこ盛りとなっている。また、細かいセリフの分岐や、フラグによる分岐も把握できないほどの数が用意されており、それを全部味わうことは不可能ではないかと思えるバリエーションがある。

そのほか、『Undertale』はボス戦ごとに専用BGMが用意されていたり、隠し通路の先にかなり丁寧に作り込まれた町が用意されていたり、プレイヤーの99%がやらないであろうアクションに対してわざわざイベントを準備していたり、さらにはユーザーがゲームをハックすることを前提としたイベントを用意しているなど、もはや狂気すら感じるほどの作り込みの深さとなっている。

だが、それこそが『Undertale』の魅力の大きな一因となっていることも間違いない。

制作者の「意図」の深さ

チュートリアルの話に戻ろう。

フラウィのチュートリアルイベントの一番凄まじい部分は、ゲームの購入前に「弾を避けるゲームである」という情報を見ているはずにも関わらず、多くのプレイヤーがフラウィに「騙される」という点だ。

筆者がTwitterで行った簡易的なアンケートではあるが、約7割のプレイヤーがフラウィに騙されて自ら弾に当たったそうだ。
 
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↑「その他」を除外するとほぼ70%となる。
 
なぜ多くのプレイヤーが騙されてしまったのか。そう仕向けるための「伏線」が張られていたからだ。ゲームで最初に見るイベントのはずなのにどこに伏線が張られていたのだろうか?

それは「ストアページ」だ。

Steamに掲載されているトレーラー映像には「誰も死ななくていいやさしいRPG」というキャッチコピーが使用されており、トレーラー全体の内容や説明文も「ほんわかしたハートフルなゲーム」という素振りを見せている。(PlayStationStoreでもほぼ同様だ)
 
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つまり、ゲームを遊ぶ前に読むストアページで「ハートフルなゲームである」と印象付ける。その状態でゲームを始めさせることで、フラウィがまさにハートフルの象徴のようなキャラに見えてしまう、という状態を作り出しているわけだ。

ここで盛大に裏切られたプレイヤーはどう感じるだろう? おそらく混乱するはずだ。『Undertale』は殺伐としたゲームなのか? それともこのフラウィが悪いだけで本当はほんわかしたゲームなのだろうか? これもまた次の伏線に繋がっており、アッと驚く展開が待ち受けているのだが…、

ここから先は実際にプレイして確かめて頂きたい。

待望の日本語版発売。今が旬だ

いかがだっただろうか。『Undertale』の凄さと作り込みの深さが伝わっていたら幸いだ。

このゲームはほぼ1人で製作されたそうだが、その制作者Tobyfox氏は、日本のゲームが大好きだそうだ。この『Undertale』も『MOTHER』や『真・女神転生』『東方』シリーズなどにインスパイアされた要素が含まれている。ゲーム全体としても、セリフや音楽、演出の力で駆動するタイプのJRPG的なゲームとなっており、日本のゲームに強く影響を受けていることが感じられる。

海外でウケているタイトルではあるが、むしろ日本人こそ遊ぶべきゲームなのだ。
 
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そして、つい先日公式に日本語対応となり、家庭用ゲーム機でも配信開始となった。価格もSteam版なら980円と安価で、ゲーム自体も5~7時間ほどでクリアできるため、週末の2日間あればサクっとクリアできるだろう。楽しめる環境がついに整った。

あなたは決意で満たされた。

[基本情報]
タイトル:Undertale
制作者:TobyFox
プレイ時間:クリアまで5~7時間程度。ルート分岐あり。
動作環境:Windows / Mac / Linux / PS4 / PSVita
価格:Steam版 980円 / PS4+PSVita版 1620円(クロスバイ対応)

公式サイトはこちら
https://undertale.jp/

フリゲ短編RPG『Acassia∞Reload』 記憶喪失の少女は死を繰り返しながら「牢獄」からの脱出を目指す

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「セーブができないRPG」というと、どういったゲームを思い浮かべるだろうか?ローグライクのように一過的でランダム要素の強い作品を思い浮かべる方が多いかもしれないが、今回紹介するフリーゲーム『Acassia∞Reload』は、セーブができない中でゲームオーバーを繰り返しつつ1つのダンジョンを攻略していくという、ループもののようなプレイ感が特徴の短編RPGだ。このゲームデザインが世界観の上でも意味があり、徐々に明かされていく物語も趣深い作品となっている。

死を繰り返しながら行動範囲を広げ、「牢獄」からの脱出を目指す

本作の主人公は、「無限遠の牢獄」と呼ばれる謎の施設に閉じ込められた記憶喪失の少女アカシア。彼女は正体不明の衝動に突き動かされ、施設からの脱出を目指す。プレイヤーは彼女を操作し、立ちはだかる敵を倒しながら探索を進めていく。

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主人公である銀髪の少女アカシア

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正体不明の衝動に突き動かされ、アカシアは施設からの脱出を目指す

アカシアには2つの特徴的な性質が備わっている。1つは「記憶することができない」こと。またもう1つは「死んでも何故か元通りになる」こと。この性質はゲームシステムでも表現されており、本作ではプレイ中にセーブする機能は存在せず、戦闘に負ければ即ゲームオーバー。そのためタイトル画面からゲームを開始するための選択肢は「GAME (RE)START」のみで「ロード」はなく、常にゲーム開始地点からやり直しとなる。

ただしアカシアのレベルや習得したスキルなどは、次回プレイ時に引き継がれる。また本作は敵の出る場所とそこで出る敵が固定となっており、敵の行動パターンなどを把握することで、より有利に戦えるようになっていく。アカシアが成長しプレイヤーが経験を積むことで、行動可能な範囲が広がっていくというのがゲームの基本的な流れだ。

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プレイ中何度も見ることになるゲームオーバー画面。本作においてはこれはあくまで「通過点」だ

3つの属性の相性とバフ・デバフが重要なバトル

本作の戦闘はCTB方式のコマンド選択型。戦術の要となるのは想・法・虚という3つの属性の存在で、3すくみの属性相性が発生する。アカシアの通常攻撃の属性は装備する「魔剣」により変化し、スキルにも属性が存在。なお、敵の属性は基本的に名前の後ろに表示されるので、「相性を探るための試行錯誤」は必要なく、最初から戦術の組み立てに集中できる。

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戦闘はCTB方式のコマンド選択型

スキルによるバフ・デバフも重要。各種状態異常やステータスアップ・ダウンなど
のほかに、敵の行動を遅らせる「時間破壊」といった効果を持つスキルも存在する。スキルは複数の効果を併せ持つような強力なものも多いが、一方でアカシアは一人で敵と対峙するため、とくに一対多の状況では一瞬でピンチになるようなこともある。スキル選びにおいては次の行動までの時間を短縮する「時間加速」の効果もポイントとなってくるほか、こちらが攻撃に手を回す余裕がない時でも敵のHPを減らせる、という点においてスリップダメージの価値が高いのも面白い。

また、敵を倒すと「エンチャント」と呼ばれる装備品をドロップする。ステータスの上昇や通常攻撃への状態異常効果付与などエンチャントの効能は多彩で、最大6個まで同時に装備可能。エンチャントはゲームオーバーで消失してしまうのだが、そのぶん周回ごとに、さまざまな組み合わせによるカスタマイズを模索するのが楽しくもある。

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敵を倒すとドロップする装備品を組み合わせてアカシアの能力をカスタマイズできる

戦闘の難易度は比較的高めで、負ければ即ゲームオーバーなこともあり常に気を抜けない。とくに一部の強敵との戦いでは、初見では予想外の攻撃に殺されてしまうなんてこともままある。対策を考え、場合によっては別の場所を探索してアカシアを強化してから再戦に挑むなど、ゲームオーバーを越えてリベンジを果たすのも本作の醍醐味だ。行く手にはさまざまな敵が待ち受けているが恐れることはない。やり直しは何度でもできるし、どう戦えばいいのかアカシアが忘れてしまっても、プレイヤーは覚えているのだから。

「記憶」を読み解くことで真実に迫っていく物語

ゲーム進行においては、施設の各地にあるクリスタル状の「記憶の痕跡」に魔力(MP)を注いで、さまざま情報を得ていくのも重要。この施設の成り立ちや、アカシア自身が何者なのかが徐々に明らかになり、記憶を読み解くことによって物語が浮かび上がっていく。アカシアの前に時折姿を見せるポータリアと呼ばれる少女も謎めいた存在で、寂れた施設に少女が二人きりという世界観も見どころ。硬質でいてどこか切なさ感じさせるような台詞回しも魅力だ。

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寂れた施設を舞台に、徐々に世界の謎に触れていく。桃色の髪の少女、ポータリアの存在も謎のひとつだ

ゲームオーバーを繰り返しながら攻略範囲を広げていくというゲームプレイと、記憶喪失の少女が死を繰り返しながら世界と自分の真実に迫っていくという物語が一体となり、それがプレイヤーの胸を打つクライマックスにも繋がっていく。世界観やキャラクター、システムのいずれかでも刺さるものがあれば、ぜひプレイしてみてほしいRPGだ。

【基本情報】
タイトル:『Acassia∞Reload』
制作者:anubis 氏
クリア時間:約2~3時間
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/16218

愛と狂気の世界へようこそ!フリゲRPG『AN EARTH』

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平和な街に忍び寄る影! 立ち上がれ少女たち!

とある地球に存在する平和な街「ビギンズ」、物語はここから始まる。

無口な主人公ドープェルと明朗すぎる少女プリス、二人は友人であるジョンが、ここ最近ずっと家に閉じこもっていることを疑問に感じていた。プリスは言った。

「きっとひとりでなにか楽しいことをしているのよ!」
「それか、死んでるか!」
「あー、わくわくしてきた!! 早く行こう!」

……友人、だと思う。たぶん。

ジョンの家までやって来た二人。ずっと放置されているらしいポストからは手紙が溢れている。人の生活している気配はしてこない。
凶暴そうな番犬をやり過ごし、ドアの前まで来るが、静かすぎる。やはり何かがおかしい。

二人が家の中へ入ると、はたしてそこにジョンはいた。しかし何やら様子が変だ。二人の姿を見るなり襲い掛かってきたのだ。致し方なく反撃を試みるが、攻撃を加えるとジョンの身体がどんどん崩れていくではないか……なんとジョンはロボットだったのだ!
 
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もうこいつはジョンじゃない! やるしかないんだ…!
 
戦いの末、ジョンを破壊した二人。

「ジョンがロボットだったなんて!!」

無残な姿に成り果てたかつての友人を前に、さすがに驚きを隠せないプリス。

平和な街を突如襲った奇怪な事件。森へ落下するUFOを目撃した住民もいる。
人知れず蠢く大きな陰謀の気配。この星で何かが起きているのは間違いない。
さあ、安穏とした日常に別れを告げる時が来た。
大切な場所を守るため。愛する者を守るため。

立ち上がれ、少女たち!
 
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地球の危機だ! 戦え! ポストで警察をぶん殴れ!

『AN EARTH』の世界では、普通は拾えないような物も拾えてしまう。例えばそれはポストであったり、消火栓であったり、犬のエサ皿であったり。「そんな物拾わないでくれ!」と思わずプレイヤーが突っ込んでしまう物まで様々だ。

拾った物は武器として装備したり、そのまま敵に投げて攻撃することが可能だ。なりふりなど構っていられない。地面からポストを引き抜いて振り回せ。そこらへんに落ちてるスコップを投げつけろ。放置してあるゴミ袋で思いっきりぶん殴れ。それがこのゲームでの戦い方であり、礼儀なのだ!
 
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役に立たない警察を殴り倒して経験値を稼ごう!
 
また、拾える物は家へ入るなどしてマップを切り替えると復活するので、その気になればいくらでも入手することが出来る。そして拾った物は意外にも高く売れる。……ここまで言ってピンと来た方もいるだろう。そう、このゲームは開始直後から金などいくらでも稼げるのだ!

ちょっと小腹が空いたのでハンバーガー屋に立ち寄ったが手持ちがない、そんな時どうするか、簡単なことだ、そこらへんの柵をもぎ取って売ればいい。4つもあればハンバーガーが買えるだろう。消火栓なら2個、ポストなら1個で出来たて熱々のハンバーガーが食べられる。素晴らしい。これが本当の“ジャンク”フードか。
 
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開始10分ほどで「街中から拾い集めた物で生計を立ててる人」みたいになってしまっている。

襲い来る狂人たち! 何かに似てても気にするな!

『AN EARTH』を象徴する個性豊かな敵たち。本作はシンボルエンカウント方式を取っているのだが、ほぼ全てのシンボルがそれぞれ違った敵という凝りようだ。さらに残りHPによって姿が変化する敵もいて、そんなことしてるから気付けばそのバリエーションは130種類以上にもなってしまっている。あの世界的に有名なポケットな怪物RPGの初期の頃に迫る勢いだ。すごい!

本作オリジナルはもちろん、中にはどこかで見たことのあるような奴らもいるが、しかしそれは他人の空似だ。気にするな。
 
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そんな艶めかしい足ついてたっけ?
 
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例えで言ったのに本当に出てくるやつがあるか!
 
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頼むから他の星でやって下さい!
 
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ここまでの流れからすると逆に安心する!

暴言!不意打ち!放送禁止用語!個性的な技で敵を黙らせろ!

本作では各キャラごとに「スペシャル」が用意されている。スペシャルとはアレだ。特別な技だ。いわゆる魔法的だったり必殺技的だったり、殆どの場合なんとかポイントを消費して繰り出すやつだ。

どれもこれも他のゲームではちょっと見られないクセのある技ばかり。ここでは本作に登場する4人のメインキャラの個性が爆発した、とっておきの技の数々をご覧に入れよう。
 
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これが地球を守る為にほぼ成り行きで集まった4人の勇者たちだ!
 
ドープェルのスペシャルは「メモリー」。「ジョンアタック」で亡きジョンへ思いを馳せながら敵全体を攻撃したり、「ミラー」で受けたダメージを反射するし、「応援」でHPを回復しつつ攻撃力を上げることもできる。主人公らしく攻撃・防御・補助とバランスが取れている。
 
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謎の攻撃「かりう」を繰り出すドープェル。敵は使ってこないので安心して欲しい。知らない人は調べよう
 
プリスのスペシャルは「トーク」。「燃える話」や「泣ける話」など話術を駆使した攻撃には、それぞれ炎・水といったように話のテーマに沿った属性が付与される。「怖い話」で敵を驚かせ行動不能にすることも可能だ。最終的には「放送禁止用語」だって飛び出す。まさに口撃である。
 
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敵をびっくりさせて行動不能にするプリスの「怖い話」。意外にも話術の才能はあるのかもしれない。
 
デッカーのスペシャルは「外道奥義」。警察の「国家権力」を惜しげもなく振りかざし、「不意打ち」によってターンを消費せず一方的に敵を攻撃し続け、状況が危ういと見れば仲間を「おとり」にしてやり過ごす。まさに外道オブ外道。
 
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子供相手に全力で不意打ちを仕掛ける警察官デッカー。清々しいくらいの外道である。
 
エイトのスペシャルはプリスと同様の「トーク」だが、アイドルである彼女は自慢の歌声を武器に「ハッピーチョコミント」や「スーパーグリンピース」などの持ち歌で味方を回復する、まさにパーティの癒し系ポジションとなっている。しかしアイドルとて人間。重圧や過密スケジュールにより積もりに積もったストレスは、相手に「暴言」を浴びせる側面も併せ持っている。たぶん彼女を見る限り元々の性格なんだろうけど。
 
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世の中には暴言を浴びせられることで体力を回復してくるタイプの敵もいるから気をつけろ!

そろそろお腹いっぱい? 黙れ! こいつを喰らえ!

『AN EARTH』のポテンシャルはまだまだこんなものではない。
ここではテーマから外れてしまうので紹介したくてもできなかった内容を、せっかくだから無理矢理ねじ込んでみた!
もう何も怖くない! ここまで来たからには最後まで全力で突っ切らせて貰う!
筆者のターン!!
 
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EXコンテンツである「きょうわくなエナミー」と接触! ひたすらレベルを上げて物理で殴ろう。
 
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タイトル画面を抜けると、そこはエンディングだった。ここから先は君達の目で確かめてくれ!
 
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当然ケモノも完備! だがこいつらは見た目ほど正気じゃないぞ!
 
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こんな げーむおーばーがめんに まじになっちゃって どうするの
 
そういえば(これは主にコンシューマの話になるのだが)貴方はゲームの取扱説明書を読む派だろうか、それとも読まない派だろうか。

筆者は取説をあまり熱心に読む方ではなかったが、それでも往年の取説には特別な思い入れがある。やたら分厚い物や、遊び心溢れた装丁、ゲーム内では語られない設定なんかもよく書いてあった。しかし昨今はご存知の通り紙製の取説はもちろん、電子版さえ存在しないタイトルも多くなってきた。もはやゲームの取説はその役目を終えようとしているのかもしれない。

そんな少し寂しい気持ちになっている人は、ぜひ『AN EARTH』の取説に目を通して頂きたい。ささやかだが、きっと元気になれるはずだ。

退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ! これがオススメRPGだ!

開幕早々に刺激的なタイトル画面を叩きつけてノンストップで紹介してきた。きっと本作の魅力が十分に伝わったであろう。こう見えてこの『AN EARTH』、例年通り今年も開催された第9回「WOLF RPGエディターコンテスト(通称ウディコン)」において総合5位に入賞した折り紙付きのタイトルなのである。そういうことは最初に言っておけと思ったであろうが、全くその通りで、最初に言っておくべきでした、ごめんなさい。

そしてここまで見てきて、恐ろしく勘のいい読者は既に気づいているかもしれないが、本作はあの名作RPG『MOTHER』を大いに意識して作られている。ビジュアルだけではなく、『MOTHER』をプレイしたことのある人にとっては色々な意味で「やられた!」と感じる仕掛けが随所に仕込んであるので、ぜひ楽しんで頂きたい。なお作者は一度も『MOTHER』シリーズをプレイしたことがないと公言している。筆者がその衝撃の事実を知ったのはこの原稿を執筆している最中だったので、慌てて内容を修正する羽目になった。

またゲーム内のとあるシーンで唐突に絶賛され始める「ココイチのカレー」についても、ゲーム制作時の段階で作者は一度もココイチに行ったことがないことが判明している。ゲーム同様、作者も容易には推し量れぬ人物である。
 
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ココイチを愛する筆者は当然復唱した。念の為に言っておくと違うゲームの画像が紛れ込んだわけではない。
 
この通り内容は遥かにぶっ飛んだゲームだが、回復&セーブポイントである電話がこれでもかと言うくらいこまめに設置してあったり、イベント戦闘でない限りは確実に逃げることが可能なことに加え、戦闘中はボタンを押しっぱなしで高速化してくれたりと、ゲームプレイを通してのストレスはほとんど感じない設計になっている。まるで札付きの不良が雨の日に捨てられた子猫に傘を差し出している光景を目撃してしまったかのような心持ちである。

ゲーム開始直後から怒涛のパロディ、ブラックユーモア、ナンセンスギャグがプレイヤーの脳髄にマシンガンから放たれた銃弾の如くぶち込まれる。そのノリについて来られるのなら、『AN EARTH』はきっと貴方に濃密な体験を提供してくれるだろう。初回プレイでも2~3時間あればクリアできるボリュームなので、どうか気軽に手を出して笑いながら底なし沼に沈んでいって欲しい。

だが忘れないで貰いたいのは、本作のキャッチコピーが「愛と狂気のオススメRPG」ということである。狂気は語った。愛はどこだ。その答えは旅路の果てに見ることになるだろう。どこまでも「ズルい」のである、このゲームは。

さあ、『AN EARTH』の世界へ旅立つ準備は出来たであろうか。
常識など不要だ。そんなものは不燃ゴミと一緒に捨ててしまえ。
見たものを感じ、あるがままに受け入れよう。
そうすればもはや貴方の楽しみを邪魔するものはない。
怖いものなどない。
 
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…あれ、なんでまだこの記事続いているの?

そう、実はまだ終わらないのである。本来なら上記の通り筆者がドヤ顔でタイピングした文章で綺麗に落として終わるつもりだったのだが、この記事が諸事情により公開待ちになっている間にとんでもない事件が起こった。

なんと! 『AN EARTH』に追加要素が加わったスペシャルエディションが配信されてしまったのだ! なんてことしてくれたの! おかげでまた最初からプレイして原稿を加筆修正しなきゃいけなくなったじゃないか! 最高!

『AN EARTH ‐SpecialEdition‐』の主な追加要素は以下の通り。

・脳味噌が溶けるような強烈なテキスト満載! 倒した敵が登録される「バケモン図鑑」!
・新キャラ! 新マップ! 新ストーリー! こいつは必見「新規エピソード」!

特に新規エピソードは絶賛開発中である「AN EARTH2」へ繋がる重要なものだ。既に無印をクリアした人も、2をプレイする前に是非とも体験しておきたいところ。
え、2なんて作ってたの?(そもそもこれ読んでるからまだ1すら未プレイなんだけど…)という人。うん、作ってたんだよ。本当だったら無印のエンディング後にその告知画面が出るのでそこでサプライズとして受け取って欲しかったからそのつもりでこの原稿も書いてたのに、作者がこんな感じでもう全面的に解禁しちゃってるから筆者も開き直ってバラさざるを得なかったんだよ。

なお、『AN EARTH ‐SpecialEdition‐』が配信されている「SYAKERAKE」は投稿型PCゲーム販売サイトとなっているが、ゲームは無料でダウンロードが可能だ。しかしもし貴方が本作を遊んでみて何かしら感じ入るものがあったのなら、ぜひお捻りを投じてみて欲しい。

というわけで、今度こそ本当に最後。色んな意味できっと貴方の心にも突き刺さる『AN EARTH』、作者も筆者もオススメのRPGである。なにはともあれ体験して頂きたい。

[基本情報]
タイトル:『AN EARTH』
ジャンル:RPG
製作者:スパイ03氏(製作者様サイトはこちら
クリア時間:2~3時間
対応OS:Windows
価格:無料(スペシャルエディションは任意の値段で支払い可能)

ダウンロードはこちらから
https://www.syakerake.jp/28

無印版はこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/15682

隣り合わせの地獄と青春。フリゲノンフィールドRPG『Helldiver』

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「地獄」と言われて連想するものは何だろうか。三途の川や閻魔大王か、はたまた双頭の番犬に罪を背負った亡者の群れか、あるいは血の池、針山、溶岩といった苦痛の数々か。いずれにしてもポジティブなイメージとは言えないだろう。

今回紹介する、サークルひよびよが制作した『Helldiver』は、一風変わった「地獄」を舞台としたノンフィールドRPGだ。10月29日より「ふりーむ」にてフリーウェアとして公開されている。

探索者「ヘルダイバー」として、深き闇の底へと潜れ

『Helldiver』はノンフィールドRPGにポイント&クリックスタイルのアドベンチャーゲームを組み合わせた作品となっている。操作はマウス操作のみで行う。
 
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生きながらにして地獄に落ちたあなたは、探索者「ヘルダイバー」として、「凍鬼子」(トキコ)という名の少女の幻影に導かれながら、地獄の中にそびえる「残映塔」を下り、地獄の最深部を目指すことになる。
 
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残映塔の内部は一方通行のダンジョンとなっており、ダンジョン内では歩くたびに「情念」を消耗し、情念がなくなると今度は体力が徐々に減っていく。そして体力がゼロになるとゲームオーバーとなる。減ってしまった情念や体力はアイテム等で回復可能だ。

道中にはアイテムが落ちていることがありクリックで拾えるほか、ワイヤーなどのトラップが仕掛けられていることもあり、適切な箇所をクリックして罠を解除してから進まないとダメージを受けてしまう。
惰性で前進し続けているとトラップにうっかり引っかかってしまうことになるため、気を引き締めつつ歩を進めていこう。
 
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残映塔を下っていく途中にはいくつかの街が存在しており、街の中は画面をクリックして探索することができる。街の中にはアイテムや装備を購入できる店や、宿屋・アパート等の拠点が存在しており、拠点では体力回復のための休息や装備の変更、情報端末を使ってのデータセーブを行うことができる。

ダンジョン内から街へと戻りたい場合は、階層と階層の間にある転送装置を使って移動するか、階層の途中であれば消費アイテムの「脱出ポッド」を使うことになる。進むか戻るかの判断は慎重に行おう。

死線を超えよ この地獄を生きるために

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敵と遭遇した場合は戦闘となり、ナイフによる攻撃、アイテムの使用、外法、逃走の4つのコマンドから行動を選択することになる。
このうち、必殺技ともいえる「外法」は、敵からの攻撃を受けた際のダメージ量に応じて蓄積される「衝動」を一定数消費することで発動できる。外法にもいくつかの系統があり、拠点で使用する外法を設定できるほか、あるレアアイテムを使用して強化することが可能だ。

加えて、戦闘において重要なパラメータのひとつが「運動能力」で、攻撃の命中率・回避率以外にも、敵との遭遇時に先手を取れるかどうかや、攻撃時に時折発動するクリティカルの発生率に関係する。レベルアップ時のパラメータ割り振りや装備品などである程度の素早さを確保しておきたい。
 
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ほかにも、敵の中には「人」「魔」「霊」「機械」といった属性を持つものがおり、「グレネード」等の各属性に対応したアイテムを使用することで大ダメージを与えられる。強敵を相手取った時のために攻撃用アイテムも用意しておくと良いだろう。

不可思議な旅路の果てに掴み取るのものは

本作を特徴的なものにしているのが、その混沌とした”地獄観”だ。
人々の妄念によって生み出されたのは、現代と遜色のないような街並みであったり、虚無のように殺風景な残映塔の内部。たとえば地獄めぐりの物語として著名なダンテの『神曲』にあるような絵に描いたような地獄絵図とは趣の異なる光景が広がっている。

行く先で出会う人々もまた、いずれも何らかの理由で地獄へと落ちてきた人々であり、太古の部族の戦士から未来の宇宙のサイボーグにいたるまで、ありとあらゆる時代と背景を持つ人々が同じ地獄に一堂に会しているというのも、形容しがたい異様な雰囲気に拍車をかけている。
 
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・「雪の街」に住む人形の「レーあ」。彼女のアパートが序盤の拠点になる
 
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・いかにも荒事担当といった風貌の「龍」。先輩ヘルダイバーとして様々なアドバイスを送ってくれる
 
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・探索の途中で出会う少女「エレン」。主人公へあからさまなほどの好意を寄せてくるが…
 
様々な身の上を持つ彼ら彼女らに対して、あなたは何を思うのか。
プレイヤーの分身としてその意思を反映する主人公は何かを喋ったり語り掛けたりする事はない。コンピュータロールプレイングゲームのある種の”お約束”と言えるが、終盤ではこの”お約束”を巧みに使った展開が待ちかまえている。
あなたが苦難を乗り越えた果てに、ある決断を下したとき、あなたがあなた自身の意思をもってそこに在ったことをその目に確かめる事になるだろう。
本作は「異形青春RPG」の謳い文句に偽りのないジュブナイルでもあるのだ。
 
クリックするべきポイントがやや分かりにくい点や、装備・外法の変更が拠点でしか行えない点など、ある程度の不便さは飲み込める人向けになっていることは否めないものの、往年のフリーゲームノンフィールドRPGを思わせるシンプルなシステムとカオスな世界観に惹かれるものがあったならば手に取ってみてほしい。

[基本情報]
タイトル:  Helldiver
制作者:  サークルひよびよ
クリア時間:  10時間~
対応OS: Windows
価格: フリーウェア

↓ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/16088

フリゲRPG『ざくざくアクターズ』約2年ぶりの大型アップデート!待望の水着イベント追加、戦闘画面のUI改良も

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はむすた氏が制作するフリーゲームの長編RPG『ざくざくアクターズ(ざくアク)』の最新版となるバージョン1.30が、8日に公開された。

前バージョンから約2年ぶりの更新となる今回のアップデートでは、大規模追加シナリオ「水着イベント編」が追加。はむすた氏のブログにて2016年1月に始まった「ざくアク水着イベント製作日記」は全40回に及ぶなど長期にわたり制作が進められ、ファンの期待も大きかったイベントがついに完成となった。水着イベント編は28時間ほど遊べるボリュームとのこと。

また、ユーザーインターフェイスの面でも改良が施されている。戦闘画面では状態異常や能力強化・弱体化などのアイコンの表示位置が変わり、より多くのアイコンを同時に表示可能となった。さらに表示可能数を超えた場合でも、スクロールしてすべてのアイコンを見ることが可能。また、「状況確認」コマンドも追加され、各キャラクターの状況を一覧表示できるようになっている。『ざくアク』は特殊な状態異常や強化状態なども多数存在するゲームなので、ボス戦などで状況をより把握しやすくなるのは嬉しいアップデートだ。

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状態異常や能力強化・弱体化などをアイコンでより把握しやすくなった。状況確認コマンドも追加

また、キャラクターのステータス画面では表示を切り替えて各種属性や状態異常への耐性などを表示可能となった。そのほかスキルの効果やコストなど、多数の調整も施されている。

ファンタジーフリゲRPG『星の王女さま』色鮮やかな星々を巡る、少女達の出会いと別れの物語

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今回紹介するフリーゲームは、製作期間4年がかりの大作RPG『星の王女さま』です。制作者はhaco氏で、全編に渡る絵画のように美しい背景アートと、絵本風の世界観と物語が特徴です。本作では王女と呼ばれる少女達が星を渡る冒険を繰り広げますが、実は可愛らしい見た目に反して、戦闘や育成にも力を入れた骨太のRPGでもあります。

筆者はしばらく前からこの作品の完成を待ち望んでいて、デモ版の頃からゲームに触れさせて頂きました。そして今秋にリリースされた本編は、想像以上の魅力が詰まった作品でした。今回も作品の魅力を余すことなく紹介したいと思いますのでお付き合いください。

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サツキとマリナが旅する幻想的な世界

普通の女子高生「サツキ」は、不思議な夢で怪物ナイトメアに襲われたところを「マリナ」と名乗る少女に助けられます。マリナに着いていったサツキは、この世界が現世で亡くなった魂が辿り着く場所であり、サツキは大きな手術をしたことがきっかけで迷い込んでしまったことを知ります。

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ナイトメアの難を逃れたサツキだが、自分が死後の世界に来てしまった事を知る。

この世界には様々な王女の住む星が存在し、マリナもお菓子の星を統治する“星の王女”のひとりでした。その中の頂点に君臨する“月の女王”は特別な存在でしたが、新しい月の女王がその座に着くと、気に入らない王女達の星を奪い始めました。その暴虐非道ぶりを垣間知ったマリナは、星々を巡って王女の力を集め、月の女王へ挑もうとしていました。

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マリナが語る月の女王の歴史。彼女を止めるべく戦いを決意する。

不安な気持ちを払拭するため、サツキはマリナの旅に同行することを決意。ふたりの冒険が始まろうとしていました。

『星の王女さま』では詩的・哲学的なテキストで幻想的な世界観を表現し、ファンタジーとしての完成度を高めています。物語もドラマチックで、失われてしまったものや残された人々が抱える思いをプレイヤーに問いかけてきます。

本作は星々を旅するごとに多くの人々と出会います。途中でサツキ達に同行する他の星の王女達やマリナの協力してくれる人達など、個性豊かなメンツが冒険に華を添えてくれます。少女達のやりとりはコミカルなものも多くてプレイヤーを飽きさせません。

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色気の星の王女であるジャスミン。友人であるマリナを止めるために立ち塞がる。

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四季の星の王女のカグヤ。かつては先代の月の女王に仕えていた。

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パロディも盛りだくさん。中にはかなりきわどいネタも……。

一方、サツキは旅の中でこの世界の厳しさを目の当たりにします。月の女王との戦いで命を奪われた人々がいることや、寿命のないこの世界で心の闇に囚われたものはナイトメアと呼ばれる怪物へと変化してしまうこと。時に別れもあり、彼女達を多くの試練が待ち受けます。果たしてマリナが月の女王に勝てるのか、その運命はプレイヤーに委ねられているのです。

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ナイトメアになりたくない人々を宙へ送り届けるのも王女の役目。

緻密で美しいアートワークと遊びやすさを意識したゲームデザイン

本作の大きな見所は、作り込まれたアートワークにあります。手描きの背景イラストから始まり、イベント中の一枚絵、画面を動き回るドットで描かれたキャラクターやモンスター、派手な戦闘エフェクト、メニューなどのユーザーインターフェイスに至るまで、世界観を緻密に再現してあります。

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世界観を表現したアートワーク。色彩豊かで、見ているだけで楽しい。

ただ綺麗なだけでなく、イメージがしっかりと統一され、プレイを阻害しないよう快適性も保たれているのが本作の強み。そのおかげでプレイヤーを物語へ没入させてくれます。

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セーブ画面にはあらすじがサツキの日記風に書かれている。

また、本作のダンジョンマップは特殊な作りで、線で繋がれたエリアを移動しながら戦闘やアイテムの入手を繰り返していきます。戦闘を回避することも出来、プレイヤーのペースでゲームを進められます。

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ダンジョンには様々なものが存在する。困ったら一瞬で帰還も出来る。

可愛さと奥深さを兼ね備えたド派手なバトルシーン

本作の戦闘はターン制サイドビューバトル。可愛らしく動くキャラクター達に反し、戦闘はカスタマイズ性が高く、多くの戦術を駆使できるのが特徴です。彼女たちの主な攻撃手段は、武器での攻撃と「エーテル」による魔法、そして強力な大技を繰り出す「オーバードライブ」。それぞれの特性を活かすと、派手で奥深いバトルを繰り広げることが出来ます。

本作の戦闘では、オンラインRPGではおなじみの“ヘイト”の概念があります。ヘイトとは敵から攻撃される対象の優先度合いを決める要素で、回復などの行動をとると敵から狙われやすくなります。

そのためキャラクターごとの役割が非常に重要で、ヘイトを稼いでダメージを引き受ける壁役や味方を回復する役を決めて立ち回るのが戦いの鍵となります。例えばマリナは防御力が高く壁役に向いており、ジャスミンは魔法よりも武器攻撃が強いなど、ひとりひとりに得意不得意があります。彼女たちの装備品やスキルを考えて付けていくことで、強敵との戦いでも頼れる仲間へと成長を遂げてくれます。

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一見難しそうなヘイトの概念も、ヘイトリングとして視覚化されているおかげで直感的に分かる。

育成においてスキルの存在は非常に重要。敵の攻撃に反撃する「カウンター」や、先制行動しやすくなる「さきがけ」などがあり、戦闘中に様々な効果をもたらしてくれます。スキルは付け替えが出来、状況に合わせて使い分けることも出来ます。

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スキルを取るたびにステータスも伸びていく。どう育てるかはプレイヤーの自由。

そして戦闘を更に盛り上げてくれるのが、強力無比な「オーバードライブ」です。行動するごとに溜めるオーバードライブゲージが最大になった時に使うことが出来、大ダメージを与える技や戦況を一変させる支援効果をもたらす技が発動します。

このオーバードライブには発動するチャンスがもうひとつあります。戦闘画面左上に表示されている大きな星型のゲージが満タンになるタイミングで行動すると、オーバードライブを自動で使う「シェアドライブ」が発動します。これは味方だけでなく敵側に機会を奪われることもあり、長期戦ほど戦いに緊張感が生まれます。相手の“先”を獲り合う読み合いも、本作の戦闘の醍醐味でもあります。

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カットインとともに発動する「シェアドライブ」。ピンチとチャンスが表裏一体なのが面白い。

他にも属性魔法を繰り出すたびに威力が強化される「フィールドエレメント」や、敵を行動不能にして一方的に行動できる「崩し」と「ブレイク」など、戦術性の高い要素が満載。育成次第では物理攻撃によるゴリ押しなども可能で、戦闘が難しいと思った人には戦闘難易度の変更も可能です。より強い敵と戦いたい人には、寄り道要素として討伐依頼やユニークモンスターとの戦いも用意されています。

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討伐依頼を果たせば報酬ももらえる。冒険の合間に挑んでみよう。

高い戦術性だけでなく、プレイヤーに合わせた遊び方を推奨してくれるのが『星の王女さま』の戦闘です。覚えることは少し多めですがじっくり挑めますので、自分だけのプレイスタイルを探してみるのが良いと思います。

創作の強い熱意がもたらすもの

『星の王女さま』はその見た目に目を奪われがちですが、現代のRPGのエッセンスを吟味し、丁寧さと大胆さを両立させている優れた作品です。試行錯誤しながら戦い、サツキやマリナとともに泣き笑いながらその旅路の果てに辿り着く頃には、ゲームをプレイすることでしか味わえない“思い出”が残ると思います。

フリーゲームとして配信されるソフトを追っていると、時折「個人で作る」範疇を遥かに超える作品と出会うことがあります。もぐらゲームスで今まで紹介した作品群もそうですが、制作者が作品に込めた思いの熱量が画面越しに伝わってくる事があります。こういった作品がより多くのプレイヤーを楽しませ、新たな快作を生むきっかけになっていっていけばと願っています。

タイトル 『星の王女さま』
制作者 haco(制作者様サイトはこちら)
対応OS Windows XP/Vista/7/8/10
プレイ時間 10~15時間程
価格 無料 ダウンロードはこちらから

https://www.freem.ne.jp/win/game/15944

アクションRPG『ティルキッス』がフリー化!激動の物語と弾幕STG風のボス戦が絡み合う名作、その魅力に改めて迫る

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ゲームサークルMIR_Revisionは2017年12月31日、有償同人ソフトとして頒布していた弾幕アクションRPG『ティルキッス ~Princess Shade~』を、フリーソフトとして公開した。

『ティルキッス ~Princess Shade~』は、2006年にリリースされた作品。見下ろし型の2DアクションRPGをベースにボス戦は弾幕シューティングゲーム風になるという独特の構成や、練り込まれたレベルデザイン、濃厚な人間ドラマが描かれるストーリーなどにより名作として名高い作品だ。リリースから10年以上を経てのフリー化というこの機会に、改めてその魅力を紹介したい。

騎士の少女を中心に描かれる恋と陰謀、そして信念の物語

本作の舞台となるのは幻想の国、イリスフィード。主人公の少女ティルキッス(通称ティル)が、騎士になるため田舎から王都へ出てくるところから物語は始まる。騎士となり、さまざまな人々と出会いながら成長していくティルだが、やがてイリスフィードを包み込む陰謀の渦に巻き込まれていく……。

本作の魅力のひとつが、可愛らしい絵柄で描かれる個性的なキャラクター達。王位継承が控えているがワガママで脳天気な姫マルガリータや、口は悪いが面倒見のいい先輩騎士ジャスティ、優しく頼りがいのある先輩騎士アイロネイアといった人物達と交流しながら物語が展開していく。ジャスティへの反発やアイロネイアへの淡い恋など、明るく真っ直ぐなティルの姿が感情豊かに描かれるのも微笑ましい。

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主人公のティルキッス。周りからは軽んじられがちなマルガリータ姫を、自分は支えようと決意する

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騎士アイロネイア。優しく頼りがいのある先輩に、ティルは淡い恋心を抱く

しかし物語が進むと、それぞれの思惑や隠されていた事実が徐々に垣間見えてくる。本作のシナリオは話数で区切られており、起承転結のはっきりとしたテンポのよいものだが、とくに「転」の盛り上がりが圧巻。さまざまな伏線が収束し、登場人物達の信念がぶつかり合い、描き込まれたキャラクタードットによる演出も相まって屈指の名シーンとなっている。そのテンションも覚めやらぬままクライマックスへと突入し、ドラマティックな物語を一気に駆け抜けるように堪能できるのがシナリオ面における本作の大きな見どころだ。

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それぞれの信念や激しい感情がぶつかり合う、熱いシナリオが魅力

ボス戦は弾幕バトル!剣と魔法の両方を使いこなす立ち回りも醍醐味

本作のフィールドは、画面端へ移動すると画面が切り替わるタイプ。街や草原など自由に行き来できるマップのほか、ストーリーの進行に応じて攻略していくことになるダンジョンがあり、こちらは1画面ごとに「特定の敵の撃破」「目的地(画面端)への到達」といったクリア条件を満たすことで先に進める、ステージクリア型アクションゲームのような作りとなっている。1画面ごとにタイムリミットがあり、クリア時の残り時間とノーミスなどの各種条件によってボーナス経験値が得られるのもポイントだ。

基本的なアクションは剣による近接攻撃とダッシュ、アイテムの使用。さらにゲームを進めると「魔法剣」を入手し、攻撃ボタンを押し続けることで魔力を消費して遠距離攻撃ができるようになる。ホーミングやオプション型など、さまざまなタイプの魔法剣を使うのも本作の楽しみのひとつとなっている。

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ダンジョンでは1画面ごとに、敵の撃破や目的地への到達などクリア条件が設定されている

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特殊なクリア条件やギミックなど、ダンジョンごとに特徴的な場面も

そして本作最大の特徴となっているのがボス戦。ボスは強力な魔法により「魔空間」を展開し、大量の弾幕による攻撃を仕掛けてくる。一方、魔空間ではティルの魔法剣が使い放題となり、バトルは一気に弾幕シューティングめいてくるという趣向だ。

ボスの弾幕は多彩で、また弾幕を撒きつつ敵本体も攻撃を仕掛けてくるといった、アクションRPGならではのボスも存在。ただ弾を避けながら魔法剣で遠距離攻撃するだけでなく、近接攻撃で敵本体を迎え撃ったり画面上の位置取りを大きく変えたりと、純粋なシューティングゲームとはまた違った、多様な立ち回りが必要となってくるのが本作独特のプレイ感を生み出している。

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ボス戦では魔法剣による遠距離攻撃が撃ち放題となり、激しい弾幕を潜り抜けながら戦う

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弾幕に囲まれる中、剣による斬り合いを繰り広げるような場面も

攻略の達成感と激動の物語が絡み合う名作

本作のボス戦は武人同士の一騎打ちという流れで始まることが多く、お互いの信念のぶつかり合いが弾幕バトルで表現されるような、物語とボス攻略の一体感も魅力。またダンジョンは洞窟といった一般的な意味での「ダンジョン」だけではなく、戦乱の地や緊急事態に陥った城内など、ストーリー展開に沿ってさまざまな場所がダンジョンと化すのも面白い。BGMも印象的で、本作オリジナルではないが「各話クライマックスのボス戦曲」などテーマ性のある使われ方をされており、物語を大いに盛り上げるものとなっている。

物語は意外性もありつつ、騎士や王族達による恋や策謀の物語といった王道感あふれるもので、リリースから10年以上経った今プレイしても全く色褪せることはない。ダンジョンやボス戦は厳しいように感じてもどこかに突破口があり、ゲームオーバー時のヒント機能も用意されているなどゲームバランスも絶妙だ。アクションRPGや弾幕シューティングゲームが好きなら、ぜひ触れてみてほしい作品だ。

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ゲームクリアに必須ではないサブダンジョンも。ドラゴンの住処には財宝が……?

なお、本作の作者であるMIR氏は現在、弾幕アクションRPGの第二弾『プリンセスシェイド リビジョン』を開発中。本作とストーリーの繋がりはないが、システムは本作を引き継ぎ、発展させたものとなるようだ。こちらも大いに期待したい。

【基本情報】
タイトル:ティルキッス ~Princess Shade~
制作者:MIR_Revision
クリア時間:約9時間(※筆者のプレイ時間。ボス戦等のリトライにかけた時間は含まず)
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
http://www.mir-rev.com/(サークル公式サイト)
https://www.freem.ne.jp/win/game/16574(ふりーむ!)


選ぶのは行動順だけ!?デッキ構築の戦略性をシンプルな操作に凝縮したフリゲRPG『カルエナダンジョン』

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「戦略のもとに多様なカードを組み合わせてセットし、そこからランダムに選出された手札を以て臨機応変に戦術を立てる」という、TCG的なデッキ構築の仕組みはコンピュータRPGとの相性もよく、こうした要素を取り入れたRPGはさまざまな作品がリリースされている。その取り入れ方も作品それぞれだが、今回は戦闘時にプレイヤーが選択するのは基本的に行動順のみというユニークなシステムを搭載した意欲作『カルエナダンジョン』を紹介したい。イラストレーターのにほへ氏が制作し、フリーゲームとして公開している作品だ。

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『カルエナダンジョン』

『カルエナダンジョン』は、「カルエナ島」という島にある、願いを叶えてくれる神様がいるというダンジョンの最深部を目指すRPG。戦闘は4人パーティによるサイドビューのコマンドバトルで、「各キャラクターごとにあらかじめ6つまでセットしたスキルがターンごとにランダムで選出され、プレイヤーはキャラクターの行動順(≒スキルの実行順)を選ぶ」というシステムが特徴。スキル同士のシナジーや状況によって変化する効果により、デッキ構築型カードゲームのような高い戦略性を極めてシンプルな操作で実現した作品となっている。

スキルセッティングと行動順選択がもたらす高い戦略性

本作のダンジョンは1画面で表現され、敵を倒すと階段が現れ次のフロアへと進める仕組み。宝箱や鉱石の採掘といった探索イベントも散りばめられているほか、敵が出現せずお店などのあるフロアも存在する。

戦闘が始まると、まずは4人のスキルがまとめて選出。選択したものから順次実行され、4人の行動が終わると敵側の行動となり、この繰り返しで戦闘が進んでいく。攻撃対象は基本的に一番右側(プレイヤーキャラ達から見て手前側)の敵と決まっており、スキルによってはランダムや条件を満たす敵など特殊な場合もある。MPを消費することでスキルの再選出も可能だが、とくに序盤は1回再選出すると尽きてしまう程度のMPしかないため、ここぞという場面で使うことになるだろう。

パーティメンバーは剣士タイプの主人公のほか魔術師やヒーラーなどがおり、それぞれの役割に応じた個性的なスキルを備えている。使えるスキルは最初は6つだが、ダンジョンや店などでスキルの巻物を入手して習得することによりどんどん増えていく。他のキャラクターのスキルとの連携なども考えながらスキルを自由に入れ替えていくのが、本作の戦略要素となっている。

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各キャラクターごとに、習得しているスキルから6つを選んで自由にセットできる

スキルの特性としては「ターンの最初に使うと全体攻撃になる」「ターンの最後に使うと与ダメージ量が上がる」といった行動順が効果に直結するもの、「次に行動する味方のスキルの効果量を2倍にする」といった組み合わせで効果を発揮するもの、「敵のHPが奇数であれば与ダメージが上がる」「敵が毒状態なら毒を解除して大ダメージ」といった敵の状況で効果が変わるものなど多彩なものが用意されており、「このスキルで敵を倒せたら再行動できる」といったスキルもある。

これにより、スキルを使う順番によって敵に与えられるダメージやどれだけの敵を倒せるかなどが大きく変わってくるという仕組みだ。次のスキルを強化するスキルや、毒をかけてから毒特攻スキルといったシンプルな連携のほか、「このスキルを使うと敵のHPがこうなるので、次のスキルの効果が上がる」といった複雑な連携も。3人、4人で綺麗に連携できた時の感覚は格ゲーでコンボが決まった時のような爽快感に近いものがある。

「敵全体のHPの1の位を5にする」といったトリッキーなスキルも多数用意されているが、いずれもスキルの効果量が乱数で変動しないのが大きなポイントとなっている。状態異常の付与率など一部の付加要素においては結果に乱数が絡むこともあるが、与ダメージや回復量がランダムに変動することはない。

また、数値がインフレしないのもポイント。ゲームを進めると「防御力」を持つ敵が登場し、攻撃の際に防御貫通効果のあるスキル以外は基本ダメージ量から防御力分が引かれるが、スキルの効果量も防御力も数値は1桁が基本で変化量を計算しやすく、2手3手先を読み、パズルのように戦術を組み上げて行けるのが本作の醍醐味。数値がインフレしないことにより、初期スキルや序盤で習得したスキルに最後まで使い所があるのもポイントで、取り得る戦術の幅広さにも繋がっている。

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ここで、実際の戦闘の流れを画像で追ってみよう。まず戦闘開始直後、毒攻撃ができるスキルがない状況で4人目のスキルが毒状態に特攻の攻撃スキル「注射」となってしまったので、MPを消費してこれを再選出する

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再選出の結果、次に使うスキルの効果量が2倍になる「バイバイン」が選出された(かなり引きがいい!)。続いて防御力を持つ敵がいるため、3人目がこのターン中に味方全員が防御力を無視できるようになる「ツラヌーク」を使用する

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続いて1人目が攻撃スキル「デストロイ」を使用。攻撃対象はデフォルトの「一番手前」で、与ダメージが敵のHP以上のため倒すことができる

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4人目がバイバインを使ったのち、2人目がHPが最も低い敵(最も低い敵が複数いる場合はそのすべて)を攻撃するスキル「裁きの矢」を使用する。バイバインの効果により、スキル名の横に表示される与ダメージ量を示す数値が3から6になっている点に注目してほしい

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ツラヌークの効果もあり、敵2体に6ダメージずつ与えることができた。ポイントはデストロイと裁きの矢の使用順で、先にデストロイで一番手前の敵を倒しておかないと裁きの矢の攻撃対象がそちらになり、ダメージ効率としては勿体ないことになっていまう

「RPGらしさ」もしっかり味わえる中編作品

こうしたシステムで戦うことになる敵もユニークなものが多く、とくに10フロアごとに発生するボス戦ではプレイヤーの意表を突くようなギミックも用意されている。敵の行動を見て何が起きているのかを把握し、これを攻略していくのもテンションの上がるポイントだ。ゲームバランスも絶妙で、筆者の場合初見のボスは満身創痍でギリギリ勝つか、スキルセッティングとの相性が悪くて詰むか、独自ギミックの把握に手間取って早々に落とされるか……などなど、緊張感のあるバトルを楽しむことができた。

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ボス戦ではさまざまなギミックが用意されていることも。明確なシステムメッセージとしては示されないことも多く、敵の挙動をよく見て仕掛けを見破っていくのが面白い

キャラクターの成長としてはスキル習得のほかに最大HP/MPの上昇もあるが、本作にはレベルアップの概念はなく、装備品での変動に加え、ダンジョンでの宝箱や、島の人々の悩み事の解決などで入手できるアイテムの使用で基本値が上昇していく。

テクニカルなバトルが魅力の作品ではあるがバトルだけに特化しているのではなく、装備品のもとになる鉱石の採掘や魚釣り、酒場での情報収集、さまざまなサブイベントなど、「拠点とダンジョンを往復しながらキャラクターを強化し、拠点の人々と交流していく」というダンジョンRPGらしいフレーバーもしっかり備わった作品。オリジナルのキャラクターイラストも魅力だ。

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ダンジョンなどで入手できる色々なキノコを2つ選んで薬を作ってもらうアイテム合成要素など、本編進行に必須ではないやり込み要素もさまざまに用意されている

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メインシナリオ自体は願いを叶えるためひたすらダンジョンの奥を目指すというシンプルなものだが、ゲーム進行に応じてパーティメンバーや島の住民との交流といったさまざまなサブイベントも楽しめる

公称プレイ時間は約8時間と探索や戦闘が中心の作品としてはボリュームもなかなかのものだが、どんどん増えていくスキル、バラエティに富んだ敵、そしてダンジョン自体にもさまざまな仕掛けや謎解きなどが用意されており、最後まで熱中できる中編作品に仕上がっている。戦略性の高いバトルを楽しみたい方、一風変わった戦闘システムに触れてみたい方には是非ともお勧めしたいRPGだ。

【基本情報】
タイトル:カルエナダンジョン
制作者:にほへ
クリア時間:約8時間
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/16913

フリゲ探索RPG『ALICE HOLE』 名作の遺伝子を引き継ぐ迷宮を制して、立ちはだかる困難を“克服”せよ!

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RPGといえばドラゴンクエストやファイナルファンタジーのように、冒険をしながら物語を進めていくタイプのものを思い浮かべる人もいると思います。あるいはウィザード・リィや世界樹の迷宮のように、冒険者を編成して3Dダンジョンに潜るゲームを思い浮かべる人もいるでしょう。

市販されているRPGにはいくつもの系譜があるのと同じように、フリーゲームにも脈々と受け継がれたRPGの派生ジャンルというものが存在します。例えばマップのない”ノンフィールドRPG”など、画期的なゲームシステムが後の作品に受け継がれるケースが多々あります。

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さて、今回紹介するフリーゲームは、2D見下ろし型のダンジョン探索RPG『ALICE HOLE』です。作者は黒木静氏。小さな部屋で目覚めた主人公の少女アリスが、「フランシスカに会わなければいけない」というわずかな記憶を頼りに、広大な迷宮を渡り歩いて彼女を探すという内容です。

本作はダンジョンの探索に重きを置いた長編RPGで、ボリュームも難易度も歯ごたえのあるものになっております。無数のモンスターやトラップ、複雑に入り組んだ道筋、そして凶悪な敵の猛攻など一筋縄ではいきません。一方でダンジョンには隠された宝が大量に眠っており、一度始めると止め時が分からなくなる魅力もあります。綿密なマップデザイン、読みごたえのある世界観、白熱するバトルなど、往年のフリーゲームファンにこそ特にオススメしたい魔性の迷宮の物語を、今回もじっくりと紹介していきます。

謎に満ちた世界で、アリスは真実を求めて旅立つ

主人公のアリスは、見知らぬ館で目を覚まします。ここはどこなのか、そもそも自分は何者なのかさえ分かりません。唯一の記憶は、夢で「フランシスカ」と呼ばれるメイドが自分を残してどこかに出かけていったことのみ。アリスは手がかりとなるフランシスカを探すため、館の扉から繋がる異世界へ足を踏み入れます。

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与えられた情報は限りなく少ない。フランシスカを追うためには自分の足で探索する他ない。

扉の外は凶悪なモンスターが徘徊しており、魔法も技も使えないアリスが冒険するには危険が伴います。そんなアリスを助けてくれるのは、少女の姿をした「心象」と呼ばれる存在です。彼女たちはゲーム開始時にいくつかの質問に応えることで仲間になり、強力な攻撃や回復などを駆使して戦ってくれます。心象はアリスの感情を司る存在らしいのですが、彼女たちもまた記憶を失っており、詳しいことは不明です。

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心象は全員で7人。プレイヤーごとに最初に仲間になる心象は変わってくる。

数々の謎に満ちた世界で、アリスはいくつもの難関を突破して、無事フランシスカを見つけられるでしょうか?

危険な迷宮を探索し、隠された財宝を見つけ出せ!

本作のスタート地点となる館は、「太古の風穴」「古代王の墓」など、扉を開けるといくつものダンジョンに繋がっています。ダンジョンはどれも広大で複雑。行き先はプレイヤーが自由に選べますが、どこもかしこも大量のモンスターが徘徊しており、トラップが仕掛けられている場所もあります。中には簡単に全滅するほど凶悪な敵が待ち受けている場所もあります。

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圧倒的な数の敵や危険なトラップ。準備不足は命取りになる。

その代わり、ダンジョンには数百近い宝箱が設置されており、敵をかい潜って宝箱に辿り着けば、敵に対抗できる強力な装備品が手に入ります。本作では武器や防具に属性が備わっており、弱点を突けば大ダメージを与え、耐性を付ければ猛攻をしのぐことができるのです。

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しっかりと育成し属性を有効に活用すれば、ハック&スラッシュのように敵をサクサク倒せる。

宝箱は巧妙に隠されており、マップの違和感がある場所を調べてみると、隠し扉や隠し階段が見つかることがあります。なにげない壁の不規則な部分、奇妙なほど何もない空間の床、強敵が立ち塞がる入り口の奥……。そういった怪しいところには、財宝が眠ってる可能性が高いです。

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広大な迷宮から隠された宝を探し当てるのは至難のように思えるが、よく観察すればヒントが見つかるはず。

しかし、どんな装備が手に入ったところで、道中戦闘に負けてゲームオーバーになってしまうとそれまでの苦労が水の泡に。本作では「帰還の宝珠」というアイテムを使えば一瞬で館に戻ることは可能です。それでも次から次へと宝が見つかるため、もう帰ったほうがいいか、それとももう少しだけ粘るか、プレイヤーを惑わします。

敵は法則的に動いていることもあるので、よく見て避ければ戦わずに宝を手に入れることが出来ます。もちろんRPGなので、しっかり仲間たちを鍛えてレベルアップして確実に進むのも手です。本作では一度倒した敵は蘇らないので、邪魔な敵を減らしながらじっくり探索する事も出来ます。迷宮をどう攻略するかは、プレイヤー次第です。

散りばめられた世界の謎のピースを集めよう!

探索で手に入るものは装備品だけではありません。ひとつは仲間となる「心象」です。最初に仲間になった心象以外は、ダンジョンの奥底で石像の姿で佇んでおり、話しかければ仲間になってくれます。ただし、戦闘で一度に参加できる心象はひとりだけ。この世界には「心の宝珠」と呼ばれるものがあり、それを手に入れればパーティの参加人数が増えるそうですが……?

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各地で仲間になる心象。それぞれ得意不得意があるので、状況によって使い分けよう。

行く先々で手に入る「本」も、本作では欠かせない存在です。ダンジョンの至る所に落ちている本には様々な情報が書いてあります。ダンジョンや装備の情報、隠し部屋のヒントなど様々。特に、歴史に名を残した「聖王」「賢王」「愚王」「魔王」と呼ばれる4人の王の物語は、この世界の成り立ちを紐解くための手掛かりとなります。純粋に読み物としても面白く、続きを読みたいがため探索に熱が入ります。

本を沢山集めて図書館に寄贈すると、ダンジョン探索で役に立つものが貰えます。移動速度を上げたり、強敵の情報を知れたりと非常に有効なものが多いので、積極的に集めることをオススメします。また本とは別に、装備することができる魔書も存在します。

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ダンジョンに残された本から、この世界が断片的に見えている。50冊以上集めると……?

最後に、最も重要なものが「鍵」です。ダンジョンには特別な鍵で封印した扉があり、その先には王の残した宝物や新たな迷宮の入り口、あるいは今まで以上に強い敵が待ち構えていることがあります。4人の王を冠した鍵を手に入れるのは簡単なことではありませんが、すべて見つけることで、プレイヤーは物語の核心へと迫ることになります。

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鍵を守るため、あるいは鍵を手に入れた先には、恐ろしい敵が待ち構えている。全力を尽くして戦おう!

ここまで本作の特徴的な部分を紹介してきましたが、往年からのフリゲファンならもう気づいた方がいるかもしれません。ALICE HOLEのゲームデザインは、ゼロ年代のフリーゲームの名作『ネフェシエル』と『イストワール』を明確にオマージュしています。

蘇る伝説のフリーゲームの遺伝子

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『ネフェシエル』『イストワール』は、それぞれ2002年・2004年に公開されたダンジョン探索をメインとするRPGツクール2000製のフリーゲームです。ダンジョン内に大量に配置された宝箱、数々の隠し扉や隠し階段、押し寄せる大量のモンスターと恐ろしきトラップ、書物などで語られる断片的なバックストーリー、謎多き世界観……。その魅力的なゲームデザインと物語は、多くのファンとフォロワー作品を輩出しました。以前筆者が記事を執筆した『WIZMAZE』などその影響を公言している作者もおり、フリーゲームのRPGにおける金字塔的なポジションに位置しています。

しかしながら影響下にあるゲームの中でも、ALICE HOLEほどゲームデザインを強く引き継いだ作品はかなり珍しいです。ダンジョンこそ別物ですが、その端々にネフェシエルとイストワールを彷彿とさせるマップが存在します。

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両作をプレイした人なら、ニヤリとするエリアも。

ALICE HOLEはそれぞれの作品の持ち味を整理しつつ、より遊びやすいバランスに仕上げています。しかし現代風のプレイ性は程々に抑え、懐かしいクラシックな遊び心地を再現しています。敵の数や厳しいトラップに心折れるプレイヤーもいるかもしれません。その分、難所を突破できた時の喜びもひとしおです。

それと同時に、ALIICE HOLEには両作品にはない挑戦的な要素も含まれています。この物語を終える時、本作と他の作品がどう違うのかきっと気付くでしょう。

恐ろしき迷宮を踏破するために

ALICE HOLEの難易度はけして楽なものとはいえません。ここでゲームを攻略するためのヒントをいくつか書いていこうと思います。

本作のゲーム制作ツール「Wolf RPGエディター」にはスクリーンショット機能がついています。鍵のかかった扉の場所や謎解きのヒントを記録しておくと、のちのちの探索が楽になるでしょう。

店では敵がドロップしたアイテムと装備品を交換してくれます。交換してくれるものの中には強力なものもあるので、積極的に活用するのがオススメです。

凶悪なボスの攻撃に歯が立たないのであれば、装備を見直すのが大切です。属性や状態異常の相性を考えて装備を選べば、難敵を軽々倒せることもあります。

最後に、ALICE HOLEには「克服」と呼ばれる要素もあります。それは同じモンスターを沢山倒すことで、アリスが自分の感情を克服して少しだけ強くなるというものです。アリスは他のキャラクターと比べて特殊な能力がないため、レベルや装備以外の数少ない強化ポイントと言えます。

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克服のためには、かなりの数の敵を倒さなければいけない。ゲーム後半の敵だと伸びが大きくなる。

ALICE HOLEは、手探りでゲームを解き明かす楽しさがあります。結末に到達するまでに大変な場面が幾度となくありましたが、試行錯誤しながら未知のエリアを探索するワクワク感は、代え難いものがあります。腕に自信があるなら、ぜひ自分の力で迷宮踏破を目指してください。

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ゲームの達成度を示す実績では、迷宮をどれだけ攻略出来たか振り返ることができる。

また、本作をクリアした後でも残された謎がいくつかあり、夏頃に新たな物語が用意されると告知されております。こちらも期待して待ちたいところです。

タイトル 『ALICE HOLE』
制作者 黒木静(制作者様サイトはこちら)
対応OS Windows
プレイ時間 10~30時間程
価格 無料
ダウンロードはこちらから
ふりーむ! https://www.freem.ne.jp/win/game/16515
Vector http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se517095.html

魔法戦特化型フリゲRPG『Element Zero』 自由な強化と連続行動で戦術の幅は広大!

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RPGでおなじみの魔法。ゲームによってその扱いはさまざまだが、今回紹介する『Element Zero』は攻撃も防御も魔法のみで行い、1ターンに複数の魔法を使える戦闘システムが特徴の短編RPGだ。年末年始にかけて開催されたゲーム投稿イベント「VIPRPG紅白2017」の参加作品で、フリーゲームとして公開されている。

限られた日数で全10エリアの攻略を目指すRPG

『Element Zero』は、恋人に致死の呪いをかけられた魔術師のライナスが、16日以内に全10エリアのダンジョンを踏破し、元凶の魔術師を倒して呪いを解くことが目的のRPG。HP/MPのどちらかでも尽きると撤退となり1日が経過する仕組みで、とくにMPは1日を終える以外に回復手段が一切ない上にエリア2以降では歩くだけでも減るため、限られた期間の中で、ライナスの能力を強化させながらいかに効率よく進んでいくかというリソース管理の要素も強い作品だ。

各エリアの最後にはボスが待ち受けており、これを倒して次のエリアに進むと、撤退しても次の日はそのエリアから再開となる。「面クリア型RPG」と謳われており、前のエリアに戻ることはできず一方通行の進行となっている。

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致死の呪いをかけられてしまったライナスの恋人、ティーナ。彼女を救うためダンジョンを踏破していく

行動力の続く限り連続行動が可能な1vs1バトル

本作の戦闘は1vs1で、敵味方が交互に行動するターン制のコマンド選択型。ターン開始時に原則として10ある「行動力」を消費して、行動力が残っている限り1ターンの間に何度でも行動できる。攻撃など主な行動は魔法で行い、魔法ごとに必要な行動力が異なる。

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戦闘システムはオリジナルの凝ったものだが、操作自体は主に「魔法を選ぶだけ」とシンプルでわかりやすい

攻撃時は攻撃側の「貫通」のパラメータと受け側の「障壁」のパラメータによる判定が行われ、前者が後者と同値以上でなければ一切ダメージを与えられないのも特徴。貫通は使う魔法によっても補正がかかるほか、足りなければ行動力を消費して上げることもできるが、そのぶん魔法に使える行動力が減ってしまうというわけだ。

また、敵との距離が遠距離・近距離の2種類あり、それによって使える魔法が変わってくる。行動力を消費して移動ができるほか、移動しながら攻撃する魔法なども存在する。

……と、こうして言葉で一気に説明するとややこしく感じてしまうかもしれないが、本作は独自のUIが練られており、戦闘画面では魔法ごとに与えられるダメージの値や貫通が足りているかどうか、また魔法を使えない場合はその理由(行動力が足りない、距離が合っていないなど)が一目でわかるようになっている。序盤は習得している魔法の数も少ないので、プレイしながら徐々に把握していけるだろう。

ゲームを進めると習得できる魔法には、そのターンの間パラメータを上げたりさまざまな方法で敵の攻撃を防御する魔法などもあり、バフからの攻撃、攻撃しつつ守りも固めるなど、行動力の範囲内で自由な組み合わせが可能となっている。さらに、攻撃系の魔法は同じものを複数回使用することもできるが、2回目以降は必要な行動力が1ずつ増えていくため、異なる魔法を取り混ぜて使っていく方が効率がよいことが多い。こうした点を考慮しつつ、オリジナルの「魔法コンボ」を追求していくのが本作の醍醐味だ。

自由度の高い強化要素。好きな魔法をカスタマイズ!

本作ではレベルアップなどにより自動で能力が上昇することはなく、経験値を任意のパラメータに割り振って能力を上昇させていく。攻撃や貫通といった基本的なパラメータのほかに火・水・光・闇という4つの元素の値があり、これを上げることで関連する魔法の威力が上がったりダメージを軽減できるほか、一定値まで上げることで新たな魔法を習得できる仕組みだ。

習得した魔法は、エリア探索などで入手できる「マナ」を使って強化することが可能。貫通の補正値を上げたり、消費する行動力を減らしたりできる。また、本作の魔法はMPを消費するタイプのほかに、1日に一定回数まで使える回数制のものもあり、この消費MPを減らしたり、使用回数を増やすことも可能だ。

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経験値を消費し、任意のパラメータを上げることが可能。元素の値を上げることで新たな魔法を習得できる

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魔法はマナを消費して強化。マナの入手量は潤沢ではないため、どの魔法の何を強化するかの選択が悩ましい

細かい数字のやり繰りと、派手な演出を楽しめる作品

こうしたさまざまなシステムを駆使して戦うことになる敵も、こちらと同じように複数の魔法を組み合わせ、ときにはこちらの状況に応じたような動きも見せてくる。HPは低いが障壁が高くダメージを通すのに一工夫いるなど敵ごとの個性も強く、手持ちの魔法の中から状況を打開できる組み合わせを探していくのが面白い。

1桁の消費行動力を足し引きしながら戦術を組み立てていき、「ピッタリ使い切った!」「1足りない!?」と一喜一憂することも。貫通などのパラメータも僅かな差が明暗を分けることがあり、ダメージ自体も多くて2桁がほとんどと、頭の中で把握できる範囲の数字のやり繰りを楽しめるゲームとなっている。敵のHPは明示されており、さらには他のパラメータも随時チェックできるので、バフなどを絡めた戦術の組み立てもやりやすい。

細かい計算がものを言うゲームではあるが、それによって連続攻撃でダメージを与えていくのはなかなかに爽快で、オリジナルのエフェクトアニメーションも凝っており、静と動のメリハリが効いている印象だ。 大技などではカットインアニメのような演出もあり、「1vs1の魔法戦」の雰囲気を盛り上げてくれる。

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派手なエフェクトアニメーションの数々により、「突撃技で攻撃しつつ距離を詰め、光の剣で斬りつけたのち射撃技の反動に乗って離脱!」といった想像が捗る

日数制限型だがカツカツに切り詰めていかないとクリア不可能というほどシビアではなく、多数の魔法の中からお気に入りのものを強化し、自分なりの戦術を組んでいける作品。公称プレイ時間は3時間程度で、各エリアも比較的コンパクトであるため進行のテンポも良い。一風変わった戦闘システムが好きな方や、色んな魔法を使いこなして戦うのが好きという方に、ぜひ触れてみてほしい作品だ。

【基本情報】
タイトル:Element Zero
制作者:Dr.K 氏
クリア時間:3時間程度
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
http://viprpg17kh.php.xdomain.jp/main/04_game.php?id=39

強制スクロールRPG『片道勇者』続編アルファ版公開!カードゲーム風へとシステム一新

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SmokingWOLF氏(SilverSecond)は1日、現在開発中の強制スクロール&カードゲーム風ローグライクRPG『片道勇者2』のアルファ版を公開した。

同氏が2012年に公開した強制横スクロールRPG『片道勇者』の続編。自動生成される世界を、画面の左側から迫ってくる闇に呑まれないようにしながら右側へと進んでいくというコンセプトは引き継ぎつつ、スキルやアイテムがカードとして表現され、手持ちのカードの中から手札として配られたカードを使って行動するという、デッキ構築型カードゲーム風のシステムへとゲームデザインが一新されている。レベルアップでスキルを習得したりアイテムを取捨選択するなどして、手札に回ってくるカードを強くしていくのがポイントだ。

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画面右下のカードを選んで行動。「行動力」の範囲で、1ターンに複数のカードを使用できる。フィールドがヘックスマップとなったのも大きな変更点

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経験値もカードとして入手する仕組みで、これを消費してレベルアップしつつスキルの入手などが行える。レベルアップに使用できるのは手札にある経験値カードのみのため、効率的なレベルアップには工夫が必要

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ピンチの際など瞬間的に自己を大幅に強化できる「覚醒」システムも健在。1ターン自分だけが動けるようになり、行動力が増加して手札を追加で引ける

今回公開された「アルファ1」バージョンでは、予定されているシステムの7~8割が実装されており、ゲームの基本的な流れを体験可能。ボスの撃破や「世界の果て」への到達といった目標も用意されている。クラスは「剣士」と「騎士」が実装されている。

なお、ゲーム中から現在の画面のスクリーンショットを添えて、不具合報告や要望、感想を送ることが可能。名作の続編をいち早く体験してみたい方や、アルファテスターとして開発に協力したい方などはプレイしてみてはいかがだろうか。

『片道勇者2』アルファ版特設ページ:
http://silversecond.net/contents/library/event/2018_april_owh2_special.html

フリーシナリオ型フリゲRPG『Evalice Saga』配信開始 果てなき冒険があなたを待ち受ける

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4月27日、Evalice Saga 制作委員会によって制作されたRPG『Evalice Saga』がふりーむ!にて配信された。本作は有志を募り、長年に渡って開発されてきたフリーウェアだ。

『Evalice Saga』ではおてんば令嬢ジョアンナを操作して、「エヴァリース」の世界を冒険していくことになる。彼女の物語であるメインシナリオに加え、道中では様々なサブイベントが発生し、それらを自由に進行することが出来るフリーシナリオを採用している。どういった仲間でどのような道筋を辿るかはプレイヤーの手に委ねられている。

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退屈な生活に嫌気がさしていたジョアンナは、元皇帝の息子ゲオルグを巻き込み、自由な冒険へと旅立つ。

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壮大な冒険を予兆させるオープニング。彼女の行先に一体どんな物語が待ち受けているのだろうか。

本作はターン制の戦闘形式をとっている。パーティメンバーは戦いの中で技を閃くことがあり、強敵に挑むほど強力な技を習得しやすくなっている。仲間同士で技を連携して大ダメージを狙うことも出来るが、敵もまた連携を使ってくることがあるので注意が必要だ。幅広い装備や隊列、戦闘中に能力を発揮する「スタイル」などカスマイズ性に富んでいるので、試行錯誤をしながら自分だけのパーティを育成することが出来る。

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キャラクターは戦闘の度に成長する。一度閃いた技はその後も使うことが出来る。

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凶悪な敵との戦いが待ち受ける。いつ挑むかの判断も、プレイヤーに任される。

ビジュアルはもちろん、演出や音楽など、スーパーファミコン時代を彷彿とさせるレトロライクな作りが特徴。一方でコンフィグや精練されたゲームシステムなど、現代的な快適性を誇る。今年のゴールデンウィークは、魅力的なフリーシナリオの世界に挑んでみるのはいかがだろうか?

ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/17537

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